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番外編
でばがめ王子の幸せはどっちだ4(シャドー=ブラック)
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僕の顔には痣がある。
生まれつきの痣ではない。
代々王家の影を統率している我がブラック伯爵家は、凡庸な見た目こそ至高である。
凡庸で標準的な見た目ほどいい。
群衆に溶け込むことが出来るからだ。
僕の父もどこにでもいる普通な顔をしていた。
そして母もそうだった。
だけど組み合わせが悪かったのかよかったのか、僕は子どもの頃から可愛い顔をしていた。
ただ可愛いだけならまだよかった。
あまりにも美しすぎて、地味にしていても目立つのだ。
「セイ殿下は隠密の天才だ。王族らしく綺麗な顔をしているのに、不思議と存在感がないのだ。お前もあんなだったらよかったのにな。」
「おそらく私の後の王家の影はセイ殿下が束ねることになるだろう。」
「そんな綺麗な顔、影には役に立たぬ!」
哀しくてこんな顔、潰れてしまえばいいと……。
ごろつきたちと態と喧嘩をして、傷を負ったのだ。
顔の骨でも折れていればいい、歯も折れたらいい、消えぬ傷ができればいいと願っていたが、癒えてみれば、色素が沈着しただけだった。
「団長はセイ殿下、副団長はオリバー=リーフという男らしい。お前は三番手だ。」
ため息交じりに言われた。
痣のできた顔は、それはそれで目立つ。
僕は僕が嫌いだ。
生まれつきの痣ではない。
代々王家の影を統率している我がブラック伯爵家は、凡庸な見た目こそ至高である。
凡庸で標準的な見た目ほどいい。
群衆に溶け込むことが出来るからだ。
僕の父もどこにでもいる普通な顔をしていた。
そして母もそうだった。
だけど組み合わせが悪かったのかよかったのか、僕は子どもの頃から可愛い顔をしていた。
ただ可愛いだけならまだよかった。
あまりにも美しすぎて、地味にしていても目立つのだ。
「セイ殿下は隠密の天才だ。王族らしく綺麗な顔をしているのに、不思議と存在感がないのだ。お前もあんなだったらよかったのにな。」
「おそらく私の後の王家の影はセイ殿下が束ねることになるだろう。」
「そんな綺麗な顔、影には役に立たぬ!」
哀しくてこんな顔、潰れてしまえばいいと……。
ごろつきたちと態と喧嘩をして、傷を負ったのだ。
顔の骨でも折れていればいい、歯も折れたらいい、消えぬ傷ができればいいと願っていたが、癒えてみれば、色素が沈着しただけだった。
「団長はセイ殿下、副団長はオリバー=リーフという男らしい。お前は三番手だ。」
ため息交じりに言われた。
痣のできた顔は、それはそれで目立つ。
僕は僕が嫌いだ。
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