真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。

番外編

四葉の花嫁５

「……手当します。上着を脱がせますね。」

野営のテント。
２人っきりの２人のテント。

クローバー様をお守りし、癒すための回復役だから、ワタシたちはいつも一緒だった。


魔物が暴れて怪我をしてしまったクローバー様。

ワタシだって弱くはないんだから、ワタシなんか庇わなければよかったのに。



服を脱がせると、肌は汗ばんで、見事な筋肉。

そして、背中がぱっくり割れて、血が出ている。



「……酷い傷。」


「君が応急処置をしてくれたから、この程度で済んだ。」

「一歩間違えば後遺症が残ったかもしれない傷です。もう、無茶はしないでください。」

傷の回復に力を注ぐ。



きれいに。



「温かい。君の優しい心が染み渡るようだ。」


傷がきれいに消えてほっとする。


「アバッキオ。」


「はい。」


「好きだ。」


「えっ…。」


「恋人になってくれ。私のことは嫌いか？男同士はやはりだめか？」


そんなことはない！


「……貴方は侯爵家の大事な長男じゃないですか。」


「君の寝言を、聞いてしまった。私のことを愛していると。天にも昇る気持ちだったが…。」

まさかそんなことが！
穴があったら入りたい！


「己惚れじゃなければ受け入れてくれ。ここじゃいつ何があるか分からない。だから君がほしい。」



そんなこと言われたら…。



テントの中。


影が一つになったのは、その時。