真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。

番外編

四葉の花嫁２

クローバーにそっくりの精悍な顔と茶色の髪と瞳の侯爵と、菫色の髪の夫人。

年を重ねた迫力があって、少し怖い。

クローバーを若くしたような弟さんは、クローバーより体の線が細くて、たぶん事務方の人間なのだろう。


「アバッキオさん、うちのクローバーと戦場でそういう関係になったと聞いているわ。この子がどうしても前線がいいというものだからうちの主人があなたを回復役に選んで派遣したのに、どうしてそうなったのかしら？って思っていたの。近衛隊に異動したときに、貴方が身を引いてくれたと聞いていたのだけど…。」

「全くうちのクローバーにも困ったものだ。どうしても君と結婚する、後継は弟に譲る、君以外の人とは絶対に結婚しない、できないのなら一生独身でいる。そういって利かなくてね？」


「うちの兄を陥落した阿婆擦れとはどういう人間かってずっと思っていたのだけど―――」



あああ、怖い。怖い！


「アバッキオを悪く言わないでくれ！関係を迫ったのも、全部私からだ！アバッキオはむしろ初めは躊躇していたんだ！とにかく反対されても私は結婚する！廃嫡されても構わない。」

「そりゃあ困らないだろうな。お前は既に武勲を立てて自分の爵位を持っている。近衛隊は貴族しかなれないが、廃嫡されても爵位があるから仕事を辞めずにすむだろうしな。」



「今日は報告に来ただけです！行こう、アバッキオ。」



あああああ。私のせいで喧嘩させたくないよ…。