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番外編
四葉の花嫁
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「緊張するわ…………。言葉づかいも気をつけなくちゃね。」
「大丈夫。アバッキオ。一応儀礼として挨拶に行くだけだから。父がなんと言おうと、私は後継ではないのだから、とやかく言われる筋合いもない。」
「………昨日はワタシの実家に挨拶してくれて、ありがとう。」
「当然のことだ。」
ふふふ。お父様もお母さまもお兄様たちもびっくりしていたわね。
ゲイだと分かって醜聞を恐れて、私を放り出したんだもの。
今となっては、王太子殿下も同性の妃を娶ったし、神の覚えさえよければ、同性同士でも子どもが生まれる。
ゲイだからって醜聞ではなくなって、しかもワタシが侯爵家出身の近衛隊隊長の妻にと望まれたんですものね。
苦々しい何とも言えない表情をしていたわ。
……少しスッキリしちゃった。
「でも驚いたわ…。元締めのお義母さまのご実家がワタシのこと養子にしてくださって…。」
「アバッキオの人徳だ。スティーブ君をアバッキオが守っていたんだろう?その恩返しだろう。私としてはアバッキオが平民だろうが妻にするつもりだったが、貴族であることに越したことはない。ありがたいものだ…。今度、お礼を贈ろう。」
緊張しながらもハピネス侯爵邸に足を踏み入れる。
今日の私は、貴族の令息らしくきちんとした訪問着を着ているの。
大丈夫、大丈夫…。
応接間で待っていると、クローバーのご両親と弟さんが出てきた。
立ち上がって、礼をする。
「あなたがアバッキオさんね。」
どきどき。
許してもらえるだろうか。
「大丈夫。アバッキオ。一応儀礼として挨拶に行くだけだから。父がなんと言おうと、私は後継ではないのだから、とやかく言われる筋合いもない。」
「………昨日はワタシの実家に挨拶してくれて、ありがとう。」
「当然のことだ。」
ふふふ。お父様もお母さまもお兄様たちもびっくりしていたわね。
ゲイだと分かって醜聞を恐れて、私を放り出したんだもの。
今となっては、王太子殿下も同性の妃を娶ったし、神の覚えさえよければ、同性同士でも子どもが生まれる。
ゲイだからって醜聞ではなくなって、しかもワタシが侯爵家出身の近衛隊隊長の妻にと望まれたんですものね。
苦々しい何とも言えない表情をしていたわ。
……少しスッキリしちゃった。
「でも驚いたわ…。元締めのお義母さまのご実家がワタシのこと養子にしてくださって…。」
「アバッキオの人徳だ。スティーブ君をアバッキオが守っていたんだろう?その恩返しだろう。私としてはアバッキオが平民だろうが妻にするつもりだったが、貴族であることに越したことはない。ありがたいものだ…。今度、お礼を贈ろう。」
緊張しながらもハピネス侯爵邸に足を踏み入れる。
今日の私は、貴族の令息らしくきちんとした訪問着を着ているの。
大丈夫、大丈夫…。
応接間で待っていると、クローバーのご両親と弟さんが出てきた。
立ち上がって、礼をする。
「あなたがアバッキオさんね。」
どきどき。
許してもらえるだろうか。
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