真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。

ジェームズの愛

「……ひぃ、ひぃいぃ。」

帝国の残党はコトを起こす前に捕らえることができた。

親友のために怒り、惜しみなく実力を発揮した『秘密の薔薇』の面々。

私のオランジェの剣も、しばらく鍛錬を休んでいたとは思えないくらい淀みのない剣だった。

彼らは王太子とその側近———帝国では最高戦力だったとは言うが、ワンパンだった。


そう、ワンパンだった。


僧侶戦士であるオーナー兼ママのポンチことアバッキオは、クローバー隊長とともにかつては騎士団の最前線に立っていたとは聞いていたが、相手の剣を避けながら素早く懐に入って急所という急所に力強い拳を叩き込んでいたし、なんなら『強すぎる回復魔法って、細胞の老化を早めたり壊死させたりしちゃうんだけど、どう思う？」とか言って、相手の戦意を喪失させていた。

ただのランクの高いそれなりの元冒険者だと思っていたマンゴーは、竜狩りの英雄と呼ばれる勇者で、手持ちの剣で相手を翻弄すると、片手と片足の腱をさくさくと断ち切って無効化してしまい。

私のオランジェも蝶のように舞い、蜂のように刺す。本当に一発で片づけた。
オランジェはやっぱり剣を持つと生き生きするな。
妃として仕事をするようになったとしても、剣はずっと持たせたい。
私は、丸ごとのオランジェを愛しているのだから。

叔父様は言うまでもない…。結界を張った中で、相手の最高魔法を上回る最大出力を繰り出し、相手のプライドをべこべこにしていた。



そしてジェームズは、ターメリックの王太子の腕をへし折り、指を一本一本折っていった。
ズタボロのぼろ雑巾のようになった男は、今、牢へ向かう荷馬車の上だ。




「スティーブ、スティーブっ。ずっと、兄上としてじゃなくて……愛してる。だから、俺の妻になって欲しい…。」

「私は……っ。」



抱き合う二人。

オランジェが私の袖を引いた。

スティーブのために持ってきた着替えを置いて、離れる。




こいつらの後の対応は任せてくれ。

なんなら、シェン様が手ぐすね引いて待ってるんだ。

ジェームズも気に入りそうな、よい処罰方法があるらしい。