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双子ちゃんの経過は良好
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「あぁあぁ、なんて可愛いんだろう。私たちの子どもたち…。でも一人くらいオランジェみたいなハニーブロンドが似ても良かったのになぁ…。」
「ペコー家は王家の色合いが元々強いのですから、貴方との子であれば、確率的に王家の色が出ることが多いのですよ。諦めなさい。」
「じいじだよぉ。でも、どちらかといえば顔立ちはオランジェに近いのではないか?お前に似ているようで、お前より愛らしい!」
「ほんとだあ…。」
双子の男の子は二人とも金髪に青い眼をしているけれど、長男の方がさらさらのストレートで目鼻立ちは殿下にそっくり。
次男は、少しだけ髪の毛が跳ねてふわふわで、この子の方が私によく似ているかも。
長男の名前は『レモネ=エド=ティーポット』、次男の名前は『ミル=キース=ティーポット』。
小さく生まれたミルなのに、お兄ちゃんを守りたいのかいつも指を離さない。
オムツ替えなどの時に決まって泣くのはレモネの方で、ミルはしっかり者なのかもしれない。
「ふぁあ…。」「あぅう。」
眠っていた二人の唇がむずむずして、泣き出してしまった。
「さあさ、特に陛下とセイ殿下は外に出てください。授乳の時間ですよ。」
赤ちゃんのお世話を買って出てくれたお母さまが、しっしと2人を追い出す。
シェンちゃんはもうだいぶお兄さんになったし、ティラ様とレンジュがいるから、こっちにきても問題ないんだって言ってくれた。
「授乳か…。いいなあ。レモネとミルは。私も飲みたい…。」
しょぼんとするダージ可愛い…。
上着をはだけさせると、赤ちゃんがおっぱいにしゃぶりつく。
ほんの少しだけ胸が膨らんで柔らかくなった気がする。
懸命に吸っている子どもたちを見ていると、とても幸せでほかほかした気持ちになる。
胸を吸われているのに、いやらしい気持ちにならないのは不思議だと思う。
「そのうち乳母がお世話するようになれば、おっぱいが余る時もありますから、その時は殿下が搾乳してあげてくださいね。飲んでもいいですから。」
「任せてくれ!義母上!」
「いやだわ、うちの子ったらこんなにおっぱい好きだったなんて思わなかったわ。でもそういえば、卒乳がセイよりうんと遅かったわね。長男だからかと思っていたけれど。」
「いっぱい飲んで大きくなってね。レモネ、ミル。」
夜、双子が眠る中、私たちは星空を見上げる。
産後の体をいたわって、ダージは優しく抱きしめて眠ってくれる。
定期的におむつやおっぱいで起きるのに、オムツ替えを手伝ってくれて嬉しい。
本当は、乳母を早く雇って任せた方がいいのは分かっているけど、やっぱりできるだけ自分たちで育てたいって私の我儘をかなえてくれて。
幸せだなあ。
「二人が1か月目を越したら、結婚式を挙げて、パレードをしよう。」
「結婚式?」
「後回しにしていただろう?」
「それから、日を見て旅行も良いな…。」
「それは二人がもう少し大きくなってから…。家族旅行も楽しいですね。」
「ただバカンスはできないけどね。公務とセットだ。」
「それは当たり前です。」
「でも、私は二人っきりの旅行に行きたいんだよ。」
「………私たちばかり幸せで申し訳ないです。ジェームズのことで、何かできないでしょうか。」
「もしかしたら、ジェームズとスティーブは兄弟じゃないかもしれない。」
「それって…!」
「ああ。二人に障害はない。ただ……そのためには、スティーブが不義の子であることを公にしなければならなくなる。それを、ジェームズが良しとするとは思えない。」
「そんな…。」
「一緒に考えよう。」
「はい。」
月夜の下で、二人が知らないまま、オリエント帝国の元王太子と側近たちは暗躍する。
パレードは1か月後。
恋心を封印するように、黙々と仕事に邁進しているジェームズ。
恋心を自覚し始めたスティーブ。
スティーブに恋する元王太子。
ただ、みんなが幸せであったらいいのにと願う。
「ペコー家は王家の色合いが元々強いのですから、貴方との子であれば、確率的に王家の色が出ることが多いのですよ。諦めなさい。」
「じいじだよぉ。でも、どちらかといえば顔立ちはオランジェに近いのではないか?お前に似ているようで、お前より愛らしい!」
「ほんとだあ…。」
双子の男の子は二人とも金髪に青い眼をしているけれど、長男の方がさらさらのストレートで目鼻立ちは殿下にそっくり。
次男は、少しだけ髪の毛が跳ねてふわふわで、この子の方が私によく似ているかも。
長男の名前は『レモネ=エド=ティーポット』、次男の名前は『ミル=キース=ティーポット』。
小さく生まれたミルなのに、お兄ちゃんを守りたいのかいつも指を離さない。
オムツ替えなどの時に決まって泣くのはレモネの方で、ミルはしっかり者なのかもしれない。
「ふぁあ…。」「あぅう。」
眠っていた二人の唇がむずむずして、泣き出してしまった。
「さあさ、特に陛下とセイ殿下は外に出てください。授乳の時間ですよ。」
赤ちゃんのお世話を買って出てくれたお母さまが、しっしと2人を追い出す。
シェンちゃんはもうだいぶお兄さんになったし、ティラ様とレンジュがいるから、こっちにきても問題ないんだって言ってくれた。
「授乳か…。いいなあ。レモネとミルは。私も飲みたい…。」
しょぼんとするダージ可愛い…。
上着をはだけさせると、赤ちゃんがおっぱいにしゃぶりつく。
ほんの少しだけ胸が膨らんで柔らかくなった気がする。
懸命に吸っている子どもたちを見ていると、とても幸せでほかほかした気持ちになる。
胸を吸われているのに、いやらしい気持ちにならないのは不思議だと思う。
「そのうち乳母がお世話するようになれば、おっぱいが余る時もありますから、その時は殿下が搾乳してあげてくださいね。飲んでもいいですから。」
「任せてくれ!義母上!」
「いやだわ、うちの子ったらこんなにおっぱい好きだったなんて思わなかったわ。でもそういえば、卒乳がセイよりうんと遅かったわね。長男だからかと思っていたけれど。」
「いっぱい飲んで大きくなってね。レモネ、ミル。」
夜、双子が眠る中、私たちは星空を見上げる。
産後の体をいたわって、ダージは優しく抱きしめて眠ってくれる。
定期的におむつやおっぱいで起きるのに、オムツ替えを手伝ってくれて嬉しい。
本当は、乳母を早く雇って任せた方がいいのは分かっているけど、やっぱりできるだけ自分たちで育てたいって私の我儘をかなえてくれて。
幸せだなあ。
「二人が1か月目を越したら、結婚式を挙げて、パレードをしよう。」
「結婚式?」
「後回しにしていただろう?」
「それから、日を見て旅行も良いな…。」
「それは二人がもう少し大きくなってから…。家族旅行も楽しいですね。」
「ただバカンスはできないけどね。公務とセットだ。」
「それは当たり前です。」
「でも、私は二人っきりの旅行に行きたいんだよ。」
「………私たちばかり幸せで申し訳ないです。ジェームズのことで、何かできないでしょうか。」
「もしかしたら、ジェームズとスティーブは兄弟じゃないかもしれない。」
「それって…!」
「ああ。二人に障害はない。ただ……そのためには、スティーブが不義の子であることを公にしなければならなくなる。それを、ジェームズが良しとするとは思えない。」
「そんな…。」
「一緒に考えよう。」
「はい。」
月夜の下で、二人が知らないまま、オリエント帝国の元王太子と側近たちは暗躍する。
パレードは1か月後。
恋心を封印するように、黙々と仕事に邁進しているジェームズ。
恋心を自覚し始めたスティーブ。
スティーブに恋する元王太子。
ただ、みんなが幸せであったらいいのにと願う。
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