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今度は私が
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「オランジェ妃殿下、私の実家の特産品のミカンです。ちょっと酸味が強い品種ですけど、よろしければお召し上がりください。」
産み月に入り、私の元には親しい人たちが代わる代わる訪れるようになった。
今日は、オレンお兄様と奥様のティラ!
「ありがとう。お兄様、ティラ様。結婚式に参列できなくってごめんなさい。それなのに…。」
「気になさらないでください。王族になったのですから仕方ありませんよ。それに今は大事な体…。祝電とお祝いの品、ありがとうございます。妃殿下のお気持ちは伝わりましたから。」
元々結婚が近かった兄上。
私が急に結婚して、子ができてしまったものだから、タイミングが悪くなってしまった。
本当にティラっていい子なの!
兄上よりレンジュと仲良しみたいで、今ではお母様も入れて3人姉妹みたいに暮らしてるんだって。
シェン様のことを聞いてもびっくりはしていたけど、だからといってアレコレねだる様子もなく、実家にも細かいことは秘密にしてくれているみたいだし、兄上は本当に見る目がある!
兄上たちを騎士に引き継いで、ジェームズが帰って来た。
「やぁ、あんな天使がこの世にいるんだなぁ。」
「我々男性陣に見る目がない者が多いだけで、きっといい子はいっぱいいるんだよ。兄上は運がいいよ。」
ちらりとジェームズを見る。
お兄さんが帰って来て嬉しいはずなのに、表情が暗い…。
今度は私が何か力になれたらいいけど、根掘り葉掘り聞くのも違うし…。
「俺のこと、心配?」
「え?」
「元気づけたいけど、どーしよー。って顔に描いてた。」
「え?顔に…っ!?」
「うん。お妃教育で言われてるだろ、気をつけろよ?」
「……。」
「おれさ、見合いでもしようかな。」
「好きな人がいるって言ってなかった?」
「……実の兄じゃ、どうしようもないからさ。」
実の、兄。
「はぁ、やっと終わった。待ったく老人は話が長すぎて困るな。で、そうか。ジェームズはスティーブが好きだったのか。」
「ダージ!」
「殿下、ちょうどいいとこに。俺の嫁、見繕ってくれません?」
「ああ。任せておけ!」
「じゃあ、ちょっと休憩いってきまーす。」
「……なんだか無理をしている気がするけど。」
「実の兄だから好きだけど結婚できないって?私にはどうも引っかかるんだよな…。」
「どういうこと?」
「スプーン侯爵の振る舞いが、な?」
「そうです…………っ。か…。」
いたっ。
痛いっ。
「オランジェ!」
陛下が蹲る私の腰を撫でる。
「陣痛、始まった…みたいっ!」
ついに来た。
産み月に入り、私の元には親しい人たちが代わる代わる訪れるようになった。
今日は、オレンお兄様と奥様のティラ!
「ありがとう。お兄様、ティラ様。結婚式に参列できなくってごめんなさい。それなのに…。」
「気になさらないでください。王族になったのですから仕方ありませんよ。それに今は大事な体…。祝電とお祝いの品、ありがとうございます。妃殿下のお気持ちは伝わりましたから。」
元々結婚が近かった兄上。
私が急に結婚して、子ができてしまったものだから、タイミングが悪くなってしまった。
本当にティラっていい子なの!
兄上よりレンジュと仲良しみたいで、今ではお母様も入れて3人姉妹みたいに暮らしてるんだって。
シェン様のことを聞いてもびっくりはしていたけど、だからといってアレコレねだる様子もなく、実家にも細かいことは秘密にしてくれているみたいだし、兄上は本当に見る目がある!
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「やぁ、あんな天使がこの世にいるんだなぁ。」
「我々男性陣に見る目がない者が多いだけで、きっといい子はいっぱいいるんだよ。兄上は運がいいよ。」
ちらりとジェームズを見る。
お兄さんが帰って来て嬉しいはずなのに、表情が暗い…。
今度は私が何か力になれたらいいけど、根掘り葉掘り聞くのも違うし…。
「俺のこと、心配?」
「え?」
「元気づけたいけど、どーしよー。って顔に描いてた。」
「え?顔に…っ!?」
「うん。お妃教育で言われてるだろ、気をつけろよ?」
「……。」
「おれさ、見合いでもしようかな。」
「好きな人がいるって言ってなかった?」
「……実の兄じゃ、どうしようもないからさ。」
実の、兄。
「はぁ、やっと終わった。待ったく老人は話が長すぎて困るな。で、そうか。ジェームズはスティーブが好きだったのか。」
「ダージ!」
「殿下、ちょうどいいとこに。俺の嫁、見繕ってくれません?」
「ああ。任せておけ!」
「じゃあ、ちょっと休憩いってきまーす。」
「……なんだか無理をしている気がするけど。」
「実の兄だから好きだけど結婚できないって?私にはどうも引っかかるんだよな…。」
「どういうこと?」
「スプーン侯爵の振る舞いが、な?」
「そうです…………っ。か…。」
いたっ。
痛いっ。
「オランジェ!」
陛下が蹲る私の腰を撫でる。
「陣痛、始まった…みたいっ!」
ついに来た。
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