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これは夢じゃないだろうか!
しおりを挟む「ええっ!なんていったの、ダージ!」
王妃様がうっかり扇を口に当てることも忘れて大きな声を出してしまう。
「私と、オランジェに子どもができるのですっ!」
「オランジェは令嬢だったのか?………ものすごく逞しい令嬢に、見えなくはないが。」
「馬鹿ね、そんなわけはないでしょう。」
「父上、母上、紹介します!ペコー伯爵領の山あいにお住いの神様のシェン様です!」
「はっはっは。我がシェンである!控えおろう!」
現れた男は確かに人ではなく。
ちょっとだけ若返らせてくれたので、すんなりと2人は信じた。
「ああああ、私あと一人くらいなら子どもが産めるかもしれないわ。」
「頑張ってみるかい…!?」
「ちょっと待ってよ!あの山は本当に金が出たの!そんな伝説本当だったってワケ!?」
セイが叫んだが、声が裏返っている。
「お前だって信じていたから、前伯爵に言ったのではないのか?それとも騙してたのか?」
目をあわせると、ぐっと、セイは唾をのんだ。
「オランジェは神から賜った桃を食べました。すぐに子を宿せる体になるのだそうです。ふふ、これから子作りを頑張らなきゃ…。子ができたら、正妃はオランジェでいいですよね!?ああは言いましたが、やっぱりオランジェ以外は欲しくないし…。」
「そうねえ、正妃になるのであればお妃教育を受けてもらわなければならないわ。近衛騎士を辞めることになっちゃうけれど…。貴方の側近も減っちゃうけど平気?」
「大丈夫ですよ。お妃教育は私の執務室で受けてもらえばいいし、ジェームズさえいれば。」
「……ですが、その話が本当ならば、オリエント帝国がまた侵攻してくるのではないですか?」
セイの言うことももっともである。しかし…
「帝国は、スパイシー=ローズ=オリエントをこちらに押し付けた負い目がある。永久不可侵の約定だってあるんだよ。これで侵攻したら国際社会のつまはじきだ。いくら大国でも、その他の国全て敵に回せるものか。」
「もし本当に侵攻したとしても我が守ってやろう。昔だって我に頼ってよかったのだ。それを…。」
「それはそうと、今日はオランジェが一緒じゃないのね?」
私の後ろにジェームズしかいないのを、ハッとした顔で見たと思ったら、顔を真っ赤にする母上。
「ま、まさかお前…。」
「えへへ、早速、頑張っちゃいました。」
「そんな、おま、足腰立たないほど…。」
「抱きつぶしたのね…。」
「兄上!鬼畜!ケダモノ!オランジェが可哀想です!」
「パンツ泥棒には言われたくないなあ~。」
「はっ!どうしてそれを!」
ああ、なんて幸せなのだろう!
夢じゃないだろうか!
王妃様がうっかり扇を口に当てることも忘れて大きな声を出してしまう。
「私と、オランジェに子どもができるのですっ!」
「オランジェは令嬢だったのか?………ものすごく逞しい令嬢に、見えなくはないが。」
「馬鹿ね、そんなわけはないでしょう。」
「父上、母上、紹介します!ペコー伯爵領の山あいにお住いの神様のシェン様です!」
「はっはっは。我がシェンである!控えおろう!」
現れた男は確かに人ではなく。
ちょっとだけ若返らせてくれたので、すんなりと2人は信じた。
「ああああ、私あと一人くらいなら子どもが産めるかもしれないわ。」
「頑張ってみるかい…!?」
「ちょっと待ってよ!あの山は本当に金が出たの!そんな伝説本当だったってワケ!?」
セイが叫んだが、声が裏返っている。
「お前だって信じていたから、前伯爵に言ったのではないのか?それとも騙してたのか?」
目をあわせると、ぐっと、セイは唾をのんだ。
「オランジェは神から賜った桃を食べました。すぐに子を宿せる体になるのだそうです。ふふ、これから子作りを頑張らなきゃ…。子ができたら、正妃はオランジェでいいですよね!?ああは言いましたが、やっぱりオランジェ以外は欲しくないし…。」
「そうねえ、正妃になるのであればお妃教育を受けてもらわなければならないわ。近衛騎士を辞めることになっちゃうけれど…。貴方の側近も減っちゃうけど平気?」
「大丈夫ですよ。お妃教育は私の執務室で受けてもらえばいいし、ジェームズさえいれば。」
「……ですが、その話が本当ならば、オリエント帝国がまた侵攻してくるのではないですか?」
セイの言うことももっともである。しかし…
「帝国は、スパイシー=ローズ=オリエントをこちらに押し付けた負い目がある。永久不可侵の約定だってあるんだよ。これで侵攻したら国際社会のつまはじきだ。いくら大国でも、その他の国全て敵に回せるものか。」
「もし本当に侵攻したとしても我が守ってやろう。昔だって我に頼ってよかったのだ。それを…。」
「それはそうと、今日はオランジェが一緒じゃないのね?」
私の後ろにジェームズしかいないのを、ハッとした顔で見たと思ったら、顔を真っ赤にする母上。
「ま、まさかお前…。」
「えへへ、早速、頑張っちゃいました。」
「そんな、おま、足腰立たないほど…。」
「抱きつぶしたのね…。」
「兄上!鬼畜!ケダモノ!オランジェが可哀想です!」
「パンツ泥棒には言われたくないなあ~。」
「はっ!どうしてそれを!」
ああ、なんて幸せなのだろう!
夢じゃないだろうか!
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