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前伯爵の帰還
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「あぁあぁぁぁ~~~~~~~~~~…。」
お城によばれて、オランジェたちの母親は目の前の出来事が整理できず、倒れてしまった。
「カレン、気を確かに!」
前伯爵であるオレンジ=ペコーが駆け寄る。
だが、その姿はどうみても若い。確か、彼はもう50過ぎのはずなのに。
もきゅっ★きゅるる~ん♡とした、ピチピチの男の子だ。
しかも知らない白髪の大柄な美青年に腰を抱かれている。
しかも、しかも………っ。
幼い頃からの婚約者で、子どもの頃の姿をしらなければ、本人だとは気付けなかっただろう。
「仕方ないこととは思いますわ。ゆえに、私もすぐには会わせなかったのですから。」
涼しい顔で茶々姫がお茶を飲む。
ここは城の、王太子殿下の応接室。
応接室には、今、ペコー家と私、オランジェ、ジェームズ、茶々姫。
それと、前伯爵と――――――――――――その番の『神様』、そして前伯爵が産んだという子がいる。
「元々、あの山には金脈があるのです。尽きぬ金脈、もう少し先に進めば宝玉が生る樹、誰でも子を孕めるようにする桃。『神の世界』なのですわ。」
「なるほど、伝説は真実だったと。」
「そのとおりです。かつて、あの山の宝を狙い、オリエント帝国は侵攻を重ねてきました。平和条約の見返りに王女を公爵家の嫁にしたのでしょう。だけれど、その時点では、帝国ももうどうでもよかったのです。私たちが山を『伝説』であり『真実ではない』ことにしたから。」
「前伯爵は金を見つけることができなかったが、もしかして…。」
「そうですわ。尽きぬ金脈にはタネがありました。『神の力』です。昔は、神に花嫁を捧げ、その対価として金が与えられていました。帝国が諦めるまで花嫁を捧げるのはやめておこうと、かつてのペコー伯爵とウーロンは取り決めをしていたのです。ペコー伯爵家は元々神職ですね。その奉っていた神こそそちらにおわすシェン様であり、祭壇はあの山の中にあったのですよ。」
「ははははは、長年のことですっかり忘れられていたらしいな、ははっ。」
シェンという真っ白な髪の大柄な美丈夫は、頭の上の耳を動かし豊かな尾を揺らしながら、前伯爵を膝に抱き、子どもを胸に抱えている。
というか、もしかしてだけど、私とオランジェも子どもができるのではっ?
「そういえば、亡くなったお父様がそんなこと言ってた気がするぅ。」
「はは、もう仕方のない奴だなあ、オレンジ。ういやつめ。お前ならなんか許せる。」
「とまあ、これが私がこの国に来た仕事の一つですわ。これを機に、ペコー家とはともにあの山をまた守っていきたいのです。」
「いいだろう。オランジェも私の妃なのだから、後ろ盾があった方がいい。シェン様。金はこれからペコー家から出るということでいいでしょうか?」
「うむ。ウーロン王家とペコー家にだけ許すぞ。両家とも昔から我が聖域を守ってくれているからな!」
やったなぁ、これで金があるペコー家は金持ちになれるし、侯爵に陞爵できる。
と、気を失っていたオランジェの母が目を覚まして起き上がった。
「あ、あなた!子どもってどういうことなの!その姿はなんなの!いやだっ、もちもちのつるすべ…!みずみずしい!」
「ごめんね~、カレン。シェンのこと好きになっちゃってぇ。ぼく、お婿さんとしても当主としても頼りなくってダメダメだったけど、お嫁さんとして溺愛される才能はあったみたい~。それで気が付いたら子どもも産んじゃったのぉ。」
かわいいでしょう、と狐の耳がついた白髪の男の子を抱っこする。
「我が嫁が『僕なんかもうおじさんだし』なんて可愛いことをいうのでの、我が力で若返らせたのよ。」
「う、うらやましい!もうあなたのことなんか何とも思っていませんけど、一人だけそんなに可愛くなって羨ましいですわ!」
「よければカレン殿も若返らせるか?」
「いいんですのっ!じゃあ、18歳くらいにしてほしいですわ!」
「母上、それはやりすぎでは…。」
「いいのっ、もう結婚はいいけど、素敵な殿方にちやほやされたいのよ!」
なんか雰囲気がきゃぴきゃぴしてきたなあ。
「あのっ……。その桃って、人間同士でも効果がありますか?」
オランジェが恥ずかしそうにシェン様にお願いをする。
その健気さに鼻血が出そうだ…。
「ああ、男同士でも子が孕めるぞ。本当に愛し合う者たちになら、分けてやろう。私の気分で生えるものだ。」
ああああ!!!神様!シェン様!!ありがとうございます!
お城によばれて、オランジェたちの母親は目の前の出来事が整理できず、倒れてしまった。
「カレン、気を確かに!」
前伯爵であるオレンジ=ペコーが駆け寄る。
だが、その姿はどうみても若い。確か、彼はもう50過ぎのはずなのに。
もきゅっ★きゅるる~ん♡とした、ピチピチの男の子だ。
しかも知らない白髪の大柄な美青年に腰を抱かれている。
しかも、しかも………っ。
幼い頃からの婚約者で、子どもの頃の姿をしらなければ、本人だとは気付けなかっただろう。
「仕方ないこととは思いますわ。ゆえに、私もすぐには会わせなかったのですから。」
涼しい顔で茶々姫がお茶を飲む。
ここは城の、王太子殿下の応接室。
応接室には、今、ペコー家と私、オランジェ、ジェームズ、茶々姫。
それと、前伯爵と――――――――――――その番の『神様』、そして前伯爵が産んだという子がいる。
「元々、あの山には金脈があるのです。尽きぬ金脈、もう少し先に進めば宝玉が生る樹、誰でも子を孕めるようにする桃。『神の世界』なのですわ。」
「なるほど、伝説は真実だったと。」
「そのとおりです。かつて、あの山の宝を狙い、オリエント帝国は侵攻を重ねてきました。平和条約の見返りに王女を公爵家の嫁にしたのでしょう。だけれど、その時点では、帝国ももうどうでもよかったのです。私たちが山を『伝説』であり『真実ではない』ことにしたから。」
「前伯爵は金を見つけることができなかったが、もしかして…。」
「そうですわ。尽きぬ金脈にはタネがありました。『神の力』です。昔は、神に花嫁を捧げ、その対価として金が与えられていました。帝国が諦めるまで花嫁を捧げるのはやめておこうと、かつてのペコー伯爵とウーロンは取り決めをしていたのです。ペコー伯爵家は元々神職ですね。その奉っていた神こそそちらにおわすシェン様であり、祭壇はあの山の中にあったのですよ。」
「ははははは、長年のことですっかり忘れられていたらしいな、ははっ。」
シェンという真っ白な髪の大柄な美丈夫は、頭の上の耳を動かし豊かな尾を揺らしながら、前伯爵を膝に抱き、子どもを胸に抱えている。
というか、もしかしてだけど、私とオランジェも子どもができるのではっ?
「そういえば、亡くなったお父様がそんなこと言ってた気がするぅ。」
「はは、もう仕方のない奴だなあ、オレンジ。ういやつめ。お前ならなんか許せる。」
「とまあ、これが私がこの国に来た仕事の一つですわ。これを機に、ペコー家とはともにあの山をまた守っていきたいのです。」
「いいだろう。オランジェも私の妃なのだから、後ろ盾があった方がいい。シェン様。金はこれからペコー家から出るということでいいでしょうか?」
「うむ。ウーロン王家とペコー家にだけ許すぞ。両家とも昔から我が聖域を守ってくれているからな!」
やったなぁ、これで金があるペコー家は金持ちになれるし、侯爵に陞爵できる。
と、気を失っていたオランジェの母が目を覚まして起き上がった。
「あ、あなた!子どもってどういうことなの!その姿はなんなの!いやだっ、もちもちのつるすべ…!みずみずしい!」
「ごめんね~、カレン。シェンのこと好きになっちゃってぇ。ぼく、お婿さんとしても当主としても頼りなくってダメダメだったけど、お嫁さんとして溺愛される才能はあったみたい~。それで気が付いたら子どもも産んじゃったのぉ。」
かわいいでしょう、と狐の耳がついた白髪の男の子を抱っこする。
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「ああ、男同士でも子が孕めるぞ。本当に愛し合う者たちになら、分けてやろう。私の気分で生えるものだ。」
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