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罠
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「いちごちゃぁん、きたよぉ~♡」
邪悪な妹を公爵邸に連れ帰り、ドライが『秘密の薔薇』の扉を開くと、男の低い喘ぎ声が二つ。
ママの姿も見えない。
「お客様。イチゴは今日はお休みで…。」
キウイとかいう、なかなかの美形が出てきた。まあ、好みではないけど。
「ふぅん、ママは?」
「悪質な客の対応をしています。」
「ママも大変だねぇ。」
「あ、あぁつ。あん、やだっ、そこっ、もう、」
「今日は本番ありもあるかぁ。うらやましい。私もイチゴちゃんとそうなりたいものだ。それはそうと、やたら可愛い声だな。ちょっと…。」
「お客様困ります!」
「スティーブ。いいじゃないか、ちょっとくらい。」
「……ここで本名はやめてください…。」
「仮面をつけていたってね、妹の婚約者だった男くらい見れば分かるさ。私だって君のことは悔やんでいるんだよ。邪悪な妹のせいで申し訳ないって。だが、何故かうちでは母と妹には逆らえなんでね。ちょっとだけ、ちらっとみるだけだから。」
ほんの一瞬。
身を伏せて隙間から見える。
オレンジ色の髪、緑色の瞳。上気する体。
金髪の男に組み敷かれているのは、間違いない。
あれは、うちの分家の――――――――――――。
「やぁ、うちの邪悪な妹が喜びそうだ。」
「そうなの!どうやって乗り切ったと思ったら、まさかあのオランジェが身を売っていたとはね!これは傑作だわ!」
扇子を叩いて、ファーメントは高笑いした。
「えらいわ、お兄様。褒めてあげるわ。」
「それでどうするんだい?」
「こんなスキャンダル。アイツは近衛騎士でいられなくなるでしょう。ペコー家だって、社交界で笑いものになるわ。社会的破滅ってやつね。」
まずは証拠を押さえて…。
ふふ、楽しくなってきたわ!
邪悪な妹を公爵邸に連れ帰り、ドライが『秘密の薔薇』の扉を開くと、男の低い喘ぎ声が二つ。
ママの姿も見えない。
「お客様。イチゴは今日はお休みで…。」
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「あ、あぁつ。あん、やだっ、そこっ、もう、」
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ほんの一瞬。
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あれは、うちの分家の――――――――――――。
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「えらいわ、お兄様。褒めてあげるわ。」
「それでどうするんだい?」
「こんなスキャンダル。アイツは近衛騎士でいられなくなるでしょう。ペコー家だって、社交界で笑いものになるわ。社会的破滅ってやつね。」
まずは証拠を押さえて…。
ふふ、楽しくなってきたわ!
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