9 / 89
殿下の気持ち
しおりを挟む
「………っ、あ、あ………んぅ。」
自分の手で指で唇で。
慣らされた体。
初心な体が少しずつ自分に染まって、蕾が花開くように、開発されていく。
昨日よりも明らかに反応がよくなった体を抱きしめ、簡単に開くシャツの前をはだけさせて、堪能する。
桜色に染まった体。
ぴくぴくと震える体。
自らの唾液でてらてらと光る胸の果実は、ほのかに紅く、先がピンと立ち、主張している。
触れるたびに感じ入り、早くも胸だけでイケるようになった体。
清楚な心とは裏腹に、ずいぶん感じやすい体のようだ。
仮面越しでも羞恥に閉じられた睫毛が震えているのが分かる。
ああ、オランジェ…。
側近候補として引き合わされたあの日。
私は君に三度心を奪われた。
「おらんじぇ、ぺこーです。でんかにおかれましてはごきげんうるわしく……。」
ハラハラと少し離れて見守る両親を後目に、オランジェは、あれぇ?なんだったっけ…と目をくりんとさせて、うーん?と考えていて。
「だいじょうぶだよ、おらんじぇ。まだわたしたちはおさない子どもなのだから。すこしくらいまちがっててもいいんだ。」
集められた子どもたちの中では、一番おっとりして、小さくて、可愛らしいオランジェ。
この子を守ってあげたい…。
安心させたくて手を握ってあげたら、花がさいたような笑顔で。
「ありがとうございます、でんか。でんかはとてもおやさしいのですね。きっとりっぱなおうさまになりますね。わたしたちはしあわせです。」
きゅうぅううううううううううん!
なんだ、この、胸の感じは…。
思えば、私はこの時からオランジェが好きだったのだと思う。
「殿下、他にもお友達がたくさんおりますよ。」
リーフ公爵に声を掛けられて、オランジェから離れた。
王家の御茶会には、側近候補の令息の他に婚約者候補のご令嬢も来ていて、リーフ公爵家のご令嬢もその中にいたけれど、私はどのご令嬢も気に入らなかった。
「でんか、わたくしはファーメント=リーフと申します。ご令嬢の中でいちばんかわいくて、しゃくいが高くてつりあうのはわたくしでしょう?わたし、よい王妃になりますわ。」
気取ったカーテンシーに、傲慢な性格。
私が一番嫌いなタイプだ。
「妃候補を決めるのは王家だ。わたしたちはまだ5歳なのだから、今はゆるそう。だが、自分で自分が妃になれるなど言わないことだ。」
そうすると、この令嬢は、かぁっとポットが沸いたみたいな顔をして、ドレスの裾をまくり、がに股でずんずんと後ろに行く。
そして、あろうことか黒髪の友人と歓談していたオランジェを突き飛ばしたのだ。
「ちょっと!何をするんだ。」
「むしゃくしゃしてるのよ!分家の子の分際でっ。たかが伯爵家なのにっ!ここにいられるのは、私が『女』だったからよ?釣り合う年の男の子がウチにいなかったから、分家だけどうちの代表として来られたの。つまり、わたしのおかげでしょ?だからいいのよ!」
令嬢は持っていた扇子でオランジェを殴りつけた。
「やめろっ!」
「スプーン侯爵家の次男ね。侯爵家とは名ばかりの貧乏人め。私に逆らうの?お家がどうなってもいいのかしらぁ?」
「……っ、お前本当に俺らと同い年かよっ。」
「あたりまえでしょう?私は王妃になるのだから。あなたたちがオムツを履いてミルクを飲んでいるころから、私は将来の王妃になるために勉強してたんだから。」
「なんだよ、それっ!」
「いいんだよ、ジェームズっ。僕を打ち据えて気が済むのであれば、お好きにどうぞ。」
いけない!
私が諫めようとしたその時――――――――
「皆さま、お逃げください!みなよ、殿下らとお客様をお守りするのだ!」
まだ当時は近衛騎士の下っ端だった現・隊長のクローバー=ハピネス侯爵令息が、声を張り上げた。
「皆を混乱させてどうする!ハピネス、何があったのだ!」
当時の隊長がしかりつけ、ハピネスの指し示すものを見て、驚愕した。
それは、先日王都に出現し、討伐したはずの―――――――牛の魔獣。
「どういうこと!ゴルデン隊長!討伐したはずではなかったの!」
私の母が声を張り上げる。
侍女の一人は急ぎ父に連絡を入れに行ったようだ。
「もっ、申し訳ございませんっ……!う、牛の魔獣はたいへん希少で…!」
牛の魔獣は狂暴だが、その肉はたいへん美味で希少。
隊長が欲を出したか…!
ハピネス隊員が颯爽と牛の魔獣を仕留める。
が、けたたましい雄たけびとともに絶命したその腹から3匹の子牛…ーといっても立派な魔物が飛び出した。
「しまっ
「だいじょうぶです。殿下はぼくが守りますっ。」
わたしより小さな体で。
どうしてあんなに強いんだろう。
咄嗟に、誰よりも早く、オランジェは我が身で私を隠して、騎士が落とした剣を持ち、子牛を見据えた。
そのきりっとした笑顔に勇気づけられ、私は二度目の恋に落ちた。
オランジェに引っ張られるように、ジェームズ=スプーンも私を守る。
産まれたばかりの魔物だったからか、二人は協力して騎士が来るまで私を守り抜いた。
大人用の剣なんて、その頃の二人にはまだとても重たかっただろうに。
火事場の力、だったのだろう。
事がすめば、二人は剣を落として、がくっと座り込んだ。
ちなみにその時、あの本家筋とやらの女は自分だけ真っ先に城の中に逃げていた。
尿臭かったから、失禁もしていたと思う。
そして三度目―――――――。
「魔物といえど、命を奪うのは辛いですね。共存が出来たらいいのですが。もしかしたらあの母親の魔物は、子を産むための食糧を探して街に降りてしまったのかも…。こうなった以上は、倒すしかないですけど。」
その思慮深さと優しさに。
「でんか、ぼく、大きくなったらでんかの騎士になります!」
その勇敢な志に。
私は惚れたのだ。
「あっ、あっ…。だめっ……。」
桜色に染まるオランジェ。
きっちりとした服に常に身を包み、学生時代もずっと私の騎士としてそばにいたな。
その制服を脱がせて、乱れさせたいという欲望を何度抱いては抑え込んでいたか。
「何がダメなんだ?」
「いっ、……いっちゃうぅ…っ。」
「イケばいい。」
ああ、私は君が欲しいのに。
自分の手で指で唇で。
慣らされた体。
初心な体が少しずつ自分に染まって、蕾が花開くように、開発されていく。
昨日よりも明らかに反応がよくなった体を抱きしめ、簡単に開くシャツの前をはだけさせて、堪能する。
桜色に染まった体。
ぴくぴくと震える体。
自らの唾液でてらてらと光る胸の果実は、ほのかに紅く、先がピンと立ち、主張している。
触れるたびに感じ入り、早くも胸だけでイケるようになった体。
清楚な心とは裏腹に、ずいぶん感じやすい体のようだ。
仮面越しでも羞恥に閉じられた睫毛が震えているのが分かる。
ああ、オランジェ…。
側近候補として引き合わされたあの日。
私は君に三度心を奪われた。
「おらんじぇ、ぺこーです。でんかにおかれましてはごきげんうるわしく……。」
ハラハラと少し離れて見守る両親を後目に、オランジェは、あれぇ?なんだったっけ…と目をくりんとさせて、うーん?と考えていて。
「だいじょうぶだよ、おらんじぇ。まだわたしたちはおさない子どもなのだから。すこしくらいまちがっててもいいんだ。」
集められた子どもたちの中では、一番おっとりして、小さくて、可愛らしいオランジェ。
この子を守ってあげたい…。
安心させたくて手を握ってあげたら、花がさいたような笑顔で。
「ありがとうございます、でんか。でんかはとてもおやさしいのですね。きっとりっぱなおうさまになりますね。わたしたちはしあわせです。」
きゅうぅううううううううううん!
なんだ、この、胸の感じは…。
思えば、私はこの時からオランジェが好きだったのだと思う。
「殿下、他にもお友達がたくさんおりますよ。」
リーフ公爵に声を掛けられて、オランジェから離れた。
王家の御茶会には、側近候補の令息の他に婚約者候補のご令嬢も来ていて、リーフ公爵家のご令嬢もその中にいたけれど、私はどのご令嬢も気に入らなかった。
「でんか、わたくしはファーメント=リーフと申します。ご令嬢の中でいちばんかわいくて、しゃくいが高くてつりあうのはわたくしでしょう?わたし、よい王妃になりますわ。」
気取ったカーテンシーに、傲慢な性格。
私が一番嫌いなタイプだ。
「妃候補を決めるのは王家だ。わたしたちはまだ5歳なのだから、今はゆるそう。だが、自分で自分が妃になれるなど言わないことだ。」
そうすると、この令嬢は、かぁっとポットが沸いたみたいな顔をして、ドレスの裾をまくり、がに股でずんずんと後ろに行く。
そして、あろうことか黒髪の友人と歓談していたオランジェを突き飛ばしたのだ。
「ちょっと!何をするんだ。」
「むしゃくしゃしてるのよ!分家の子の分際でっ。たかが伯爵家なのにっ!ここにいられるのは、私が『女』だったからよ?釣り合う年の男の子がウチにいなかったから、分家だけどうちの代表として来られたの。つまり、わたしのおかげでしょ?だからいいのよ!」
令嬢は持っていた扇子でオランジェを殴りつけた。
「やめろっ!」
「スプーン侯爵家の次男ね。侯爵家とは名ばかりの貧乏人め。私に逆らうの?お家がどうなってもいいのかしらぁ?」
「……っ、お前本当に俺らと同い年かよっ。」
「あたりまえでしょう?私は王妃になるのだから。あなたたちがオムツを履いてミルクを飲んでいるころから、私は将来の王妃になるために勉強してたんだから。」
「なんだよ、それっ!」
「いいんだよ、ジェームズっ。僕を打ち据えて気が済むのであれば、お好きにどうぞ。」
いけない!
私が諫めようとしたその時――――――――
「皆さま、お逃げください!みなよ、殿下らとお客様をお守りするのだ!」
まだ当時は近衛騎士の下っ端だった現・隊長のクローバー=ハピネス侯爵令息が、声を張り上げた。
「皆を混乱させてどうする!ハピネス、何があったのだ!」
当時の隊長がしかりつけ、ハピネスの指し示すものを見て、驚愕した。
それは、先日王都に出現し、討伐したはずの―――――――牛の魔獣。
「どういうこと!ゴルデン隊長!討伐したはずではなかったの!」
私の母が声を張り上げる。
侍女の一人は急ぎ父に連絡を入れに行ったようだ。
「もっ、申し訳ございませんっ……!う、牛の魔獣はたいへん希少で…!」
牛の魔獣は狂暴だが、その肉はたいへん美味で希少。
隊長が欲を出したか…!
ハピネス隊員が颯爽と牛の魔獣を仕留める。
が、けたたましい雄たけびとともに絶命したその腹から3匹の子牛…ーといっても立派な魔物が飛び出した。
「しまっ
「だいじょうぶです。殿下はぼくが守りますっ。」
わたしより小さな体で。
どうしてあんなに強いんだろう。
咄嗟に、誰よりも早く、オランジェは我が身で私を隠して、騎士が落とした剣を持ち、子牛を見据えた。
そのきりっとした笑顔に勇気づけられ、私は二度目の恋に落ちた。
オランジェに引っ張られるように、ジェームズ=スプーンも私を守る。
産まれたばかりの魔物だったからか、二人は協力して騎士が来るまで私を守り抜いた。
大人用の剣なんて、その頃の二人にはまだとても重たかっただろうに。
火事場の力、だったのだろう。
事がすめば、二人は剣を落として、がくっと座り込んだ。
ちなみにその時、あの本家筋とやらの女は自分だけ真っ先に城の中に逃げていた。
尿臭かったから、失禁もしていたと思う。
そして三度目―――――――。
「魔物といえど、命を奪うのは辛いですね。共存が出来たらいいのですが。もしかしたらあの母親の魔物は、子を産むための食糧を探して街に降りてしまったのかも…。こうなった以上は、倒すしかないですけど。」
その思慮深さと優しさに。
「でんか、ぼく、大きくなったらでんかの騎士になります!」
その勇敢な志に。
私は惚れたのだ。
「あっ、あっ…。だめっ……。」
桜色に染まるオランジェ。
きっちりとした服に常に身を包み、学生時代もずっと私の騎士としてそばにいたな。
その制服を脱がせて、乱れさせたいという欲望を何度抱いては抑え込んでいたか。
「何がダメなんだ?」
「いっ、……いっちゃうぅ…っ。」
「イケばいい。」
ああ、私は君が欲しいのに。
82
お気に入りに追加
821
あなたにおすすめの小説
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
兄に嫌われてる弟ですが誤解が解けたら十数年分溺愛されました(完)
みかん畑
BL
王位継承権の関係で嫌われていた弟が兄を庇って女体化の呪いにかかった後のお話です。
ハッピーエンド保証。ジャンルは分かりません。甘々の溺愛系です。
微エロあり、ご注意を。
9/12 恋愛⇒BLに移しておきます。TSモノのBLなので苦手な方は回避お願いします。
9/18 本編完結済みですがたまにチマチマ更新します。
ある日、人気俳優の弟になりました。
樹 ゆき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる