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最終章
聖女②
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屋敷が崩壊するのと、メフィストがやってきたのはほぼ同時だった。
「おまえたち!」
「メフィスト!」
「もうここは危ない、それに総力戦になる。君たちの力も貸してほしい。」
「でも、ここには人間もいる。どこか避難が先だ。」
リュウの後ろには、ルウと、人間の女性と少年。
ちらりと見やり、一瞬で判断する。
「それなら、いっそリュウと彼らで中央の総司令室へ。リュウには俺の代わりに、戦闘の総指揮をとってもらいたい。俺は戦場へ出る!」
なるほど、一番守られるのが王様のいる場所。
危ないようで、王様のそばが最も安全か。
と、リュウは納得した。
「そして、アルファ。ーーそれにルウは、俺と一緒に来てくれ。」
「待ってくれ、メフィスト!ルウも?」
息を吐き、メフィストはリュウを見た。
「ルウにしかできないこともある。今がそのときだ。」
「…分かりました。」
リュウはルウの額にキスをすると、二人は別れた。
リュウと優希たちが転移する。
「…俺もついているから。」
アルファが、ルウの肩を寄せた。
ううん、大丈夫。
今、私も、できることをしたいの。
「さて、ではいくぞ!」
メフィストにいざなわれ、屋敷からそれぞれが旅立った。
◆◆◆
ーーーーーなんてこと!
屋敷からの情報だけでは、こんなふうになっているなんて思わなかった。
学校も、学校から続く商店街も、壊れて、人が走っていて、煙が上がっていて。
サイレンが鳴り響くけど、やがて機能しなくなって。
私の頭の中には、楽しい学校生活、まだわずかな間だけど親しくしているクラスメイトの笑顔が浮かんだ。
日常に戻りたい。
みんなを守りたい。
「ここからは結界の外だ!」
軍服を着けたアルファさんと、学園長に支えられ、私は空を飛んで、結界の外へ。
俯瞰で見る。
地上には根が張り、地下から突き出した触手が暴れまわる。
そしてそれが集まる先にいたのは。
空に浮かぶ魔界の王宮を目指すように進む、
化け物。
「いや…いやああああああああああっ!!!」
私の体から光が放たれた。
「おまえたち!」
「メフィスト!」
「もうここは危ない、それに総力戦になる。君たちの力も貸してほしい。」
「でも、ここには人間もいる。どこか避難が先だ。」
リュウの後ろには、ルウと、人間の女性と少年。
ちらりと見やり、一瞬で判断する。
「それなら、いっそリュウと彼らで中央の総司令室へ。リュウには俺の代わりに、戦闘の総指揮をとってもらいたい。俺は戦場へ出る!」
なるほど、一番守られるのが王様のいる場所。
危ないようで、王様のそばが最も安全か。
と、リュウは納得した。
「そして、アルファ。ーーそれにルウは、俺と一緒に来てくれ。」
「待ってくれ、メフィスト!ルウも?」
息を吐き、メフィストはリュウを見た。
「ルウにしかできないこともある。今がそのときだ。」
「…分かりました。」
リュウはルウの額にキスをすると、二人は別れた。
リュウと優希たちが転移する。
「…俺もついているから。」
アルファが、ルウの肩を寄せた。
ううん、大丈夫。
今、私も、できることをしたいの。
「さて、ではいくぞ!」
メフィストにいざなわれ、屋敷からそれぞれが旅立った。
◆◆◆
ーーーーーなんてこと!
屋敷からの情報だけでは、こんなふうになっているなんて思わなかった。
学校も、学校から続く商店街も、壊れて、人が走っていて、煙が上がっていて。
サイレンが鳴り響くけど、やがて機能しなくなって。
私の頭の中には、楽しい学校生活、まだわずかな間だけど親しくしているクラスメイトの笑顔が浮かんだ。
日常に戻りたい。
みんなを守りたい。
「ここからは結界の外だ!」
軍服を着けたアルファさんと、学園長に支えられ、私は空を飛んで、結界の外へ。
俯瞰で見る。
地上には根が張り、地下から突き出した触手が暴れまわる。
そしてそれが集まる先にいたのは。
空に浮かぶ魔界の王宮を目指すように進む、
化け物。
「いや…いやああああああああああっ!!!」
私の体から光が放たれた。
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