落ちこぼれ魔族の少女はやがて聖女になる

竜鳴躍

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最終章

聖女①

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ひいいいいい!

地上では、人間と魔界の住人が右往左往している。
逃げ惑う魔界の住人に対しても、人間は怯え、余計に混乱が生じていた。


上空で行われている、現実とは思えない超常の戦い。

火の玉などが地上まで落ちてくることはないが、いつ落ちてくるかと思うと恐ろしい。

空気が揺れ、常に地鳴りがする中で、人々の喧騒は絶えやまない。


メフィストは、結界の中に入ると、光の粉を落としていく。

落ち着きを取り戻した人間を、魔界の者が助け、安全な場所へ誘導する。


その結界の上では、結界の中に領民を移動させ、守るとともに、
人間を守るよう命令を下した女領主が敵陣を相手取っている。


両手で八の字を描くように、炎を練り上げーーーーーー

「爆ぜろ!ヘルフレイム!!!!」


数百とも思われるドラゴンの群れが爆散する。

「私の領民や、人間たちには触れさせはしない!!」


さすが、アンジェラ。



メフィストは戦況を見やると、中央に巨大なものが現れたという通信を受け取った。
「まずい…」
メフィストは、ルウとリュウの家へ回線をつないだ。

「…そっちも気を付けてくれ!」

向こうも、現状に気が付いたばかりのようだった。

街から離れているのだ、どうしても遅れる。

メフィストは回線を切ると、何かを考え、直接指示をするために、急いで彼らの家へ向かった。


◆◆◆


「さあ、私の可愛いドレイン様。あなたのお力をお見せくださいな。」


上空に浮かんだ魔界の国。

中央の城に向かって、巨大な影の、頭と思われ鵜場所へ口づけを落とす。

妖しくほほ笑むその姿は、もはや魔女。


アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!


対峙する者は、なにもできず、固唾をのむしかない。



周囲のーー影にとってはーー仲間を、その影が吸収していく。

体はより大きくなり、影は4本の角に、8枚の黒い翼をもつ、山羊のような、大きな獣へと変貌した。
上半身は山羊に近いが、下半身は見えない。

植物の茎のように枝分かれした触手が、腰から生え、大地に突き刺さっている。

大地の奥から結界を突き抜け、世界中でいたるところに同時に現れた巨大な根が、
街を、ものを破壊していく。


「くそっ!」


「ウインドカッター!」

「シードシャワー!!!!!!」

根の攻撃を避けながら。

シイナとベータが攻撃を打ち込む。

他の場所ではアンジェラが。

メフィストが。

軍部の者たちが。

それぞれが攻撃を続ける。



そして、ルウと優香を守りながら、

地上でもリュウと優希が剣で切り裂き、

アルファが炎の矢で襲い来るものを打ち落としていた。





だがーーーーーーーーーーーーーー







「ふふ…そんなものかしら。」






巨大なものには全くダメージはなかった。


「こんなもの…どうやって…。」




誰かが呟いた。


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