落ちこぼれ魔族の少女はやがて聖女になる

竜鳴躍

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最終章

刻はきた

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廃坑の奥の奥。

細い通路の奥には光があり、そこには一つの国が広がっていた。

黒と紫で彩られた、不毛の大地。

女が歩く先は、やがて城のバルコニーへ通じる。



眼下には群衆がおり、女が右手をあげて応える。


「ドロシー様! 万歳!! ドロシー様!」


女は、ドロシー。
300年前の聖女。今や、堕ちた元聖女。



「刻はきた!6月6日朝6時のこの時をもって、我らは攻め入ろう!」



オオオオオオオオオオオ!!!!!



雄たけびにあわせるかのように、ばっとドロシーが両手を天に掲げる。

前髪が乱れ、第3の額の目が開く。







そのころ…





「! 揺れる!?」

「メフィストさま!!」


魔界の学園の学園長室で、メフィストがマリアを抱える。


「空が…


みな、空を見上げる。


雲が渦巻き、空が暗転し、空間のゆがみを感じる。





『緊急速報です!世界中で強い竜巻が発生ししております…皆様くれぐれにもご注意を…

家のテレビがニュースを報じ、ガガガっと回線が切れて節電する。


「来たか…!?」

人間界でも、同様だった。



地鳴りと強風で目が開けられず、空間の歪みに身を耐え、


そしてやがて落ち着いて、目をあけると…




人間界でありながら、そこには魔界が混ざっていた。

「!!!!!!!」


ツーツー


メフィストから回線がつながる。


「アルファ、リュウ!」


「メフィスト!」


通信の前に、優希たちも含めて全員が集まる。


「魔界と人間界の境目がなくなった。二つの世界が融合してしまったようだ。そして、今、こちらには、相手の勢力が大群で押し寄せてきている!そっちも気を付けてくれ!!」


「お兄ちゃん…。」
兄とアルファさんが深刻な顔をしている。


「ひっ!」
優香さんのひきつった声で窓の外を見ると…


空を浮かぶドラゴン、
大型の人狼、
三つ首の犬が空を駆け、火を噴いている。


ぎゅっと、握った両手が汗ばむ。




戦いが、始まるのだ。






聖女と言われても、私は、まだあの時1回しか力を発動できていない。

私にもやれることがあるんだろうか。




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