落ちこぼれ魔族の少女はやがて聖女になる

竜鳴躍

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戦乱の始まり

さぁ覚悟しろよ?

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『魔族…!?』

「さぁ、覚悟しろよ? 優希、一緒に戦えるか?」

はい!

「ルウは、自分の身を守ることを考えて。足元や影には気をつけろ!」

「わかった、お兄ちゃん!」


「ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょう!!」

男が叫ぶ。

「アル、あの子に剣を貸してやってくれ。お前は使だろ?」

「いいけど、あの子は?」

「弟子かな?」

「…ふーん。」

少し、面白くなさそうな顔をして、赤い髪の人は剣を貸してくれた。

重いと思ったけど、軽い。


「実践だ。戦い方を教えよう。お前の魔力はまだ目覚めたばかりで少ない。その剣に魔力を通せ」

魔力を通すと、剣が放電した。


「その武器なら、戦えるはず。あの男の方は任せたよ?」

はい!


「さて、アル。行こうか?」

リュウさんは剣を抜いた。

青白い刀身の、きれいな細身の剣。

「久しぶりにいくよ、俺の眷族。シヴァ。」

剣に話しかける。

アルと呼ばれた人はため息をついて。
炎でできた人型の人…イフリートと呼んだ…を呼ぶと、それを弓に変えた。

「できれば、確保かね」

「できればね」

『…くっ、こんなところで…!』

忌々しそうに、もう一人の男が呟き、闇の力を高めた。



◆◆◆



男が牙を開きながら、鋭い爪で襲い掛かってくる。

速度が速い。

剣の雷撃がなかなか当たらない。

「攻撃のときは、相手の速度・視点・動きの癖からを見極めろ!守りの時はその逆だ!」
「はい!」

ギャウウ!

あたった!

リュウさんたちの方は、黒いマントを大きく広げた男が、マントの端を広げて、多角的な方向から攻撃。

『シャドウ!』

あわせて、足元から、影の槍が貫く。

『アローレイン!』
炎の矢が、百発百中で、マントをいなし、槍を破壊する。

ーさすが、希代の射手。

リュウはひとりごちて、懐へ。


『凍結剣!』

氷の剣で貫く。

『ぐっ!』



◆◆◆


目が慣れてきた。

もう、僕の方へヤツの攻撃は当たらない。

「ぐぇぇぇ!」

雷撃を連打すると、発火して、燃え尽きた。

やった!


◆◆◆


『くっ…!』


もう一人の男の腹から下は、凍結している。

『ショット!』

さっとリュウさんが上空に飛び、動けない男に向かって、赤い人の矢が打ち抜いた。


『!!』


瞬間。男の体は黒い霧へ。




「しまった…!」



男はどこかへ消えてしまった。



「逃げられたか…。」

赤い人が弓を人の形に戻す。


「家に帰ろう。」

リュウさんが、僕とルウを抱き寄せた。



と、そこへ





スマホの着信。



知らない番号からだ…。

僕は、不安を感じて着信を受けた。



「丘の杜病院です。加賀美優香さんのご家族ですか?」

病院?


「…はい。弟です…」


あなたのお姉さんが何者かに刺されて…。すぐに来てください!



僕は、真っ青になった。

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