落ちこぼれ魔族の少女はやがて聖女になる

竜鳴躍

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封印の聖女と動乱の魔女

おかえり

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「光? 悪しき気が消えた…!?」

外で待っていた者たちは、何かが起こった様子を感じていた。

『あ、マスター、来る』


イフリートが言う瞬間、粉塵をあげて遺跡が割れ、中から赤毛の者が飛び出してきた。


「アル!!?」
「お兄さま!!」


「ウウウウ…。」



『労しい、完全に我を喪失されている…。』

「気を付けてください、私が盾になります。」



「ああああああああああああああっ!」

アルファの両手が炎で燃え上がる。火力で飛ばされそうになる。

瞬時にアンジェラが前に出て、炎をかき消したが、力不足ではじかれてしまった。

「くぅ…。」


俺が知っているアルより、リミットが外れた分、魔力が強い気がする。


ルウはまだ戻ってこないが、あの様子なら大丈夫だろう。
問題は、アル。


「アル、帰ってこい。」


「リュウさん!!」

俺は、アルファに向かってまっすぐ近寄ってーーーー



キスをした。





「ウ…



俺を引きはがそうとする炎の腕が、俺の皮膚を焼く。




少し焼けた匂いのしたところで、腕の火力が弱まったのを感じた頃。


「お前馬鹿か!!」


アルファが帰ってきた。


「メフィストの光の蝶、持ってたから。イケるかなーって。口移しで飲ませちゃった。」




「おにーちゃーん、アンジェラさまー。ただいまーーーーーーって。何!?どいうこと????」



遺跡からルウが走ってくる。

よかった。本当に。



◆◆◆


「んでね、メダルははめこめなかったんだけど、なんか黒いの嫌だーって思ったら、体からぶわーって光が出て、いつの間にか魔法陣の切れ目もなくなってたの。」


ルウの報告で、そのあと、フレイム領の調査団が遺跡を調査に行くと、完全に遺跡は浄化され、封印が上書きされたことが分かった。

俺たちは現場を検証するために、同行している。
因みに俺は、アルファが呼び出した回復役のカリムの手厚い治療を受けて、傷一つありません。
マッハで呼び出すとか、それで来るとかどういうことだ。

「信じられませんが、ルウ様は、もしかしたら聖魔なのかもしれません。」

「聖魔?」

首をちょこんと傾げる。

そうか、俺が先祖返りしたのだから、そういう可能性だってあったんだ。

「聖魔の王族の女性だけが封印の力を持つのですが、聖魔の王族は初代国王であったケイオス王を除いて全員が戦争の犠牲になりました。彼らは率先してほかの種族と混じりましたから、氷魔と同じく、聖魔も種族としては絶えたと思われていたのですが…。」

ルウ、お前は能力なしじゃない。
魔力の代わりに、特別な力を持っていたんだよ。


「えへへ…。そうなのかな。」


嬉しそうにはにかむ。


「あれ??」

「ん?どうした、ルウ」


去り際、魔法陣のある部屋の手前で、ルウが立ち止まる。

「ここに確か、女の子の像があった気がしてたんだけど。」

「アルファがそのへんでブチかましてたんだろ?壊れてしまったんじゃないか?」

「そうかも?」






そして私たちは人間界へ帰る。

まだ、これが序章にしかすぎなかったことを知らずに。




◆◆◆


「フフフ…。」

闇の中で、ボブカットの少女が嗤う。

足元から渦を出し、渦が消えるころには。


少女の髪は腰まで伸び、
妙齢の女性へ変化していた。



「さぁ。今度こそ、私の番よ。フフフフフフ!!」
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