落ちこぼれ魔族の少女はやがて聖女になる

竜鳴躍

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封印の聖女と動乱の魔女

赤の遺跡

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乾いた空気にグリルで焼かれるかのような熱。

砂の海を私たちは、アルファさんの格好をしたアンジェラさんの操作する魔法のじゅうたんに乗って進む。

絨毯は広く、大きなパラソルのような屋根がついている。


イフリートは、絨毯のそばを飛んでついてきていた。


「見えてきました。あれが、昔、聖魔が封じた聖地。通称、赤の遺跡です。」

アンジェラが指し示す先には、大地をくりぬいたて作ったような、小ぶりの神殿があった。

このあたりの大地が鉄分を帯びているせいで、赤い。


「それでは、私たちはこのあたりで待機となります。ルウさん、こちらは万が一のための魔道具と、中の地図です。」

女の人だとわかっていても、なんだかドキドキしてしまう。
アンジェラさんは、私に視線をあわせるように膝まづいて、アイテムを渡してくれた。

魔道具は4つ。

一つは、方角を知るための腕時計。
二つ目は、暗闇でも視界を明るくするための魔法がかかったゴーグル。
三つめは、いざというときに身を守るための閃光弾が入った魔導銃。
四つ目は、緊急避難をするための魔法がかかったスクロール。


「あなたのように幼い者に託さなければならない我が身が、本当に情けなく思います。どうか、まずはご自身を大事になさってください。ご武運を…。」


「ルウ、俺も遺跡のそばで待っている。無理をしないでくれよ」


うん、行ってくる。


私はにっこり笑って、遺跡の中へ入っていった。



◆◆◆


遺跡の中は、整備されていて、思ったより進みやすかった。

元々風化していたところに、事件が発生して、物理的に破壊されたような跡があちこちで見えたけど。

破壊された壁や、柱に身を隠しながら、地図を頼りに少しずつ進んでいく。

もしかしたら、悪いもののせいで、魔力のある人にはなんだかいやな雰囲気になっているのかもしれないけど、私には分からないし。


順調に進んでいくと、少女の像が立っていた。


表面が少しひび割れている。

(あれ…どこかでこの顔、見たことがあるような…?)


内巻きのボブカットで、大きな目の、私より少し年上のお姉さんの像。

なんとなく、少女の像に、私もじっと見られているような気がする。


まあいいや。先を進んで確認しなきゃ。


そのとき。


『立ち去れ…。 命が惜しければ、立ち去れ…』


少女の像のある場所の奥の部屋から、威圧感のある声が聞こえた。



あれ…?

もしかして、やばい?



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