落ちこぼれ魔族の少女はやがて聖女になる

竜鳴躍

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学園時代(兄サイド)

秘密

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「チッ!

助けないと!


そう動いた瞬間。決壊した川の水に同級生が飲まれ、ゴーレムは溶けたその刹那。


視界の端からが走った。



白いものは

右手を開くと 

何をつぶやき。


一瞬で


俺は、
咄嗟に同級生を周囲の氷ごと切り離し。

水分を蒸発させて温めてやった。


リュウ=シータ=ユプシロンは、魔力が使えないなんてことはない。
なんて莫大な魔力。

「だい、じょうぶ…?」

かすかな声で同級生をみやる。その視線はどこかうるんでいる。
「ひ、ヒイイイ!」

助けてもらっておきながら、リュウにおびえてがちがちと歯をあわせている。


寂しそうに、ほほ笑んで。



そして、




彼は倒れた。






◆◆◆




俺は彼を抱えて保健室へ連れて行った。

教師が慌てた様子で学園長を呼び、彼の保護者がきた。

俺は目撃者として、彼にずっと付き添っていた。


「彼は…なんなんですか。」


「失われたはずの、古代種。氷魔の先祖返りだ。氷魔は魔力が強すぎて、自らの身をむしばむ。最も長く生きた記録が30代半ばくらいだったはずだ。大体は20代では死んでしまう。彼の場合はね、20代までもたないといわれている。」

息をのんだ。

保健室のベッドで横たわる、血の気のない美しい顔。

かけつけた彼の母親が泣いていた。

「この子をすぐに運んでくれてありがとう…。」

彼と似てはいないが、この国の王妃に似た、気の強そうな美しい顔。王妃の双子の妹だったはずだ。
その高貴な女性が、俺にお礼を言っている。

「お医者さまにも何人もみていただいたの。研究機関にも相談したのですよ。少しでもこの子が長く生きられないか・・・。でもどうしてもだめで、せめて魔力を使わないよう、体を刺激しないよう、この子はそうやって行動を制限されて生きてきたの。」

息子の頬をなでながら、俺をまっすぐに見つめる。

「この子のことを一緒にいたあの子たちに聞いたのでしょう。この子がいろんな資格をとっているのも、医師の資格をとったのも、自分で自分の命をつなぐ方法をみつけられないか、こんな状況でも何か自分が生きた意味を見つけることができないか、模索したからなのよ。」

その結果、浮いてしまって、友達もいないの。

と彼の母親は続けた。

ああ、彼女はこういいたいのだ。

「俺は、彼が好きです。たぶん。まだ、よくお互いに知らないことが多いけど。」

先が短い息子の、それでも幸せを願う母親に


俺は一生そばに居続けることを誓った。
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