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覚醒の気配
さようなら魔界、こんにちは人間界
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「それでは、行ってまいります!」
「二人とも便りはよこすのよ、私たちも行きますけど、たまには帰ってきてね…」
「す、すすすきな男ができたら、いうんだぞ!!」
「はい!」
実家に作った人間界への魔法陣の上で、両親と別れ、そして私は兄と人間界へ旅立った。
人間界は、なんていうか建物が密集してる。
夜なのに明るい。
今までと違う環境に、不安を覚えながらも、兄と一緒なので怖くはない。
そして、兄は、比較的緑が多い街の奥のほうへ入っていった。
だれからも気づかれないような奥には、古びた洋館があった。
「これは?」
「メフィストが用意した家だよ。何代か前に人間界で住んでいた魔族がおいてきた家らしい。古くなっているけど、メフィストがマジックアイテムくれたからね、きれいにできるよ。ここでの権利関係も、こっちにあるように手続きは済ませてくれている。」
「至れり尽くせり…」
「そのくらい準備できないと、ここにはいられないさ。いいかい、ここでは魔族とか魔界とかいうのは知られてはいけないよ。ここは魔法の代わりに科学が進んでいる。権利関係も法律で定められているし、ある意味魔界より進んだ社会かもね。」
「へー」
兄が胸ポケットから羊皮紙を取り出し、開いてふっと息をふきかけると、中から光の蝶が舞った。
蝶は屋敷の一角を一周し、光の粉をふりまく。光のカーテンが展開し、消えるころには、伸び放題の芝はきれいに、壁の蔦や割れ目も消え、新品のような家が現れた。
そして、私の新しい人生が始まった。
この様子を誰かが見ていたとは、気づいていなかったーーーーーーーーーー。
◆◆◆
森の奥の洋館が光った気がした。
たぶん、だれも気にしていなかった、なぜか誰も存在が分からないといっていた謎の廃屋。
僕が幻を見ているのか。でも、確かにそれはあった。
丁度、姉と二人暮らしで住んでいるアパートの僕の部屋から、遠くに見える洋館。
光ったのが気になって、本当はだめだけど、望遠鏡で覗いてみた。
すると、美しい光の蝶のロンドが見ることができた。
「きれい…。」
驚くことに、廃屋はきれいになっていた。
そして中に、僕と同じくらいの茶色の髪の子と、白っぽい長い髪の人?が入っていった。
(おばあちゃん、なのかな?
でもその割には歩き方がきれいだから、外国の人なのかも。)
魔法使いなのかな…。魔法って本当にあったんだ…。
僕の胸の高まりは止まらない。
僕は魔法を信じていた。
なぜなら、数年前に事故で死んだ僕の父は、魔法のようだと賞賛された高名な手品師だったから。
僕は、父が本当に魔法を使っているのではないかと思っていた。
僕も魔法使いになりたかった。
「優希~ただいま~~。今日は唐揚げ。半額だったから買ってきちゃった!すぐ夕飯にするから~」
バイトに行っている姉が帰ってきた。
「はーい!」
明日、洋館へ行ってみよう。
そう思いながら返事をした。
「二人とも便りはよこすのよ、私たちも行きますけど、たまには帰ってきてね…」
「す、すすすきな男ができたら、いうんだぞ!!」
「はい!」
実家に作った人間界への魔法陣の上で、両親と別れ、そして私は兄と人間界へ旅立った。
人間界は、なんていうか建物が密集してる。
夜なのに明るい。
今までと違う環境に、不安を覚えながらも、兄と一緒なので怖くはない。
そして、兄は、比較的緑が多い街の奥のほうへ入っていった。
だれからも気づかれないような奥には、古びた洋館があった。
「これは?」
「メフィストが用意した家だよ。何代か前に人間界で住んでいた魔族がおいてきた家らしい。古くなっているけど、メフィストがマジックアイテムくれたからね、きれいにできるよ。ここでの権利関係も、こっちにあるように手続きは済ませてくれている。」
「至れり尽くせり…」
「そのくらい準備できないと、ここにはいられないさ。いいかい、ここでは魔族とか魔界とかいうのは知られてはいけないよ。ここは魔法の代わりに科学が進んでいる。権利関係も法律で定められているし、ある意味魔界より進んだ社会かもね。」
「へー」
兄が胸ポケットから羊皮紙を取り出し、開いてふっと息をふきかけると、中から光の蝶が舞った。
蝶は屋敷の一角を一周し、光の粉をふりまく。光のカーテンが展開し、消えるころには、伸び放題の芝はきれいに、壁の蔦や割れ目も消え、新品のような家が現れた。
そして、私の新しい人生が始まった。
この様子を誰かが見ていたとは、気づいていなかったーーーーーーーーーー。
◆◆◆
森の奥の洋館が光った気がした。
たぶん、だれも気にしていなかった、なぜか誰も存在が分からないといっていた謎の廃屋。
僕が幻を見ているのか。でも、確かにそれはあった。
丁度、姉と二人暮らしで住んでいるアパートの僕の部屋から、遠くに見える洋館。
光ったのが気になって、本当はだめだけど、望遠鏡で覗いてみた。
すると、美しい光の蝶のロンドが見ることができた。
「きれい…。」
驚くことに、廃屋はきれいになっていた。
そして中に、僕と同じくらいの茶色の髪の子と、白っぽい長い髪の人?が入っていった。
(おばあちゃん、なのかな?
でもその割には歩き方がきれいだから、外国の人なのかも。)
魔法使いなのかな…。魔法って本当にあったんだ…。
僕の胸の高まりは止まらない。
僕は魔法を信じていた。
なぜなら、数年前に事故で死んだ僕の父は、魔法のようだと賞賛された高名な手品師だったから。
僕は、父が本当に魔法を使っているのではないかと思っていた。
僕も魔法使いになりたかった。
「優希~ただいま~~。今日は唐揚げ。半額だったから買ってきちゃった!すぐ夕飯にするから~」
バイトに行っている姉が帰ってきた。
「はーい!」
明日、洋館へ行ってみよう。
そう思いながら返事をした。
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