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ナス課長の結婚

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ナス課長は、次の日に休みをとって、海里の家に行った。


「海里さん。じゃなくて、海里…。今日は僕の領地や屋敷を案内するよ。」


そういって、彼の後ろにはメイド姿のルーシーがいる。


「おはようございます。海里さん。じゃなくて、奥様。」



「ルーシーさん???」


海里は目をぱちくりさせた。



「あのね、実はここが、僕の領地なんだ。……ひかないでね??僕、どうしても君が心配で。僕自身に君を守れる力がないから、自分が考える限り一番安全なところに君を住まわせたくて。」


「旦那様は、本当に奥様を想ってらっしゃるのですよ。私も楽しみです。子爵家も旦那様の代で終わりなのだと正直、寂しかったのですよ。私に赤ちゃんの子育てを手伝わせてください。実績はそこにおりますから、腕は確かでしょう?」

ルーシーがいつものように笑うと、少し安心した。




家を出ると、近所に住んでいる使用人の人たちが全員、待っていた。


「旦那様、奥様、おめでとうございます!!」


ああ。ずっと、私たちはこの人に守られていたのだ。




子爵家の馬車にエスコートされたときは、ちゃんと踏み台が用意されていた。


馬車からまわる領地の景色は、どこも活気が良くて。


子どもたちだけで笑顔で遊んでいる。


それは、ここの治安がそれだけ良いからだ。



「教室は、君さえよかったら続けてもらいたいって思ってるんだ。君の才能をただの子爵夫人で終わらせるのはもったいないよ。何でも自分が思いついたこと、やりたいことをやっていいと思ってる。」

「ありがとうございます。ボウ様は、優れた方です。きっと王族にお生まれなら、素晴らしい王になられていたでしょう。」


「それは買いかぶりすぎだよ。嬉しいけどね。この小さな領地だからこそ、目が行き届くし、うまくいったんだよ。」


さぁ。ついたよ。


着いた屋敷は、領地を見渡す丘の上にあって、色とりどりの花が咲き乱れる庭、紫色の屋根の落ち着いた屋敷だった。


家令の案内で、部屋をまわる。

「12歳の時に、皆なくしてしまったから、空き部屋が多くって。管理は使用人のみんながしてくれているから整っているんだけど。君が暮らしやすいように、自由に変えてほしいんだ。」


2人は式をあげるつもりはないけれど、海里は故郷の湊家に手紙を書いた。




お父様。

お母様。

お兄様。


私は、スパイス王国でよくしてくださった方にプロポーズされ、結婚することにいたしました。

ボウ=ナス子爵といって、領地経営の腕もよく、優れた文官で管理職をされている方です。

私の夫で子どもの父親になりたいと言ってくださいました。

とても、とても。私にはもったいないくらい優しくて素敵な方です。


私は、幸せです。


だから、安心してください。





「ああ、よかった。よかった……海里。」

「お父様。そのうち、海里たちに会いに行きましょう。親子や兄弟の縁は切れてはいないのですから。」

「そうだな。この国に帰れないだけだ。交代でもいいから、会いに行こう。婿殿にもご挨拶をせねば。」




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