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お手紙
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悪い奴らは処刑された。
黒闇は、罰として処刑される前に去勢されて、一週間一般牢に転がされた後、サメの餌になったらしい。
生きたまま食いちぎられて命を終えるのを、執行官はずっと見ていたのだとか。
海里は無体を強いられすぎて、回復魔法だけでは体力が回復できていなかったことから、しばらく静養してから、清聖の待つトウホウに帰ることになった。
海里の知識は深く、優秀な側近で。
こんなに優れた人を、ただ性のはけ口として扱ったあの男は本当に愚か者だったと思う。
海里は、ブラックとミリーの家で預かっていた。
海里の状況と黒闇の処罰の結果を手紙で報告したら、ミリー宛に手紙が返って来た。
ミリーは一度手紙を読み、夫であるブラックにも見せて、返事をしたためた。
―――――――――――
拝啓 我が女神
今回のことは、本当にありがとうございます。
あなたに命を救われ、初めて貴方の姿を瞳にうつしたとき、私の心は貴方に惹かれました。
しかし、あなたには既に素晴らしいご夫君がいらっしゃる。
あの方に私は到底勝てないでしょう。
もし、あなたがあの方に会う前に私と会っていたら。
私は貴方を妃にするために、必死になっていたことでしょうが、それはかなわぬことです。
トウホウより、貴方の幸せをお祈りしています。
大事な新婚旅行の最後に、私たちのいざこざに巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。
―――――――――――
拝啓 清聖さま
俺なんかをそんなふうに思ってくださっていたなんて、恐縮です。
俺の太陽は、夫です。
たとえ、王様でも、彼より地位がある方でもお金をお持ちの方でも
誰より、俺は彼がいいのです。
私への思いは、命の危機のことだったので、ある意味つり橋効果だったと思いますよ。
きっと、貴方の相手は、他にいると思います。
海里様が元気になったら、そちらへ送ります。
――――――――――
「彼は何が言いたかったんだ…。いい人でよかった。とは思うが。」
「きっと、俺に振られたかったんだよ。前に進むために。」
さて、海里さんの様子をみにいかなきゃ。
くらっとなる体をブラックが支える。
「気を付けて。一人の体じゃないんだから。」
「ありがとう。」
一階の奥の客間に、彼はいる。
彼の体は細く、だいぶ痩せてしまった。
「ミリー先生…!」
「いいの、いいの。横になっていて。」
「ですが、先生も…。」
「いいの。俺にはブラックがいるから。」
清聖にはなんて説明したらいいのか分からなくて、手紙に書けなかった。
あのろくでなしの子を、海里さんは孕んでしまっていたのだ。
黒闇は、罰として処刑される前に去勢されて、一週間一般牢に転がされた後、サメの餌になったらしい。
生きたまま食いちぎられて命を終えるのを、執行官はずっと見ていたのだとか。
海里は無体を強いられすぎて、回復魔法だけでは体力が回復できていなかったことから、しばらく静養してから、清聖の待つトウホウに帰ることになった。
海里の知識は深く、優秀な側近で。
こんなに優れた人を、ただ性のはけ口として扱ったあの男は本当に愚か者だったと思う。
海里は、ブラックとミリーの家で預かっていた。
海里の状況と黒闇の処罰の結果を手紙で報告したら、ミリー宛に手紙が返って来た。
ミリーは一度手紙を読み、夫であるブラックにも見せて、返事をしたためた。
―――――――――――
拝啓 我が女神
今回のことは、本当にありがとうございます。
あなたに命を救われ、初めて貴方の姿を瞳にうつしたとき、私の心は貴方に惹かれました。
しかし、あなたには既に素晴らしいご夫君がいらっしゃる。
あの方に私は到底勝てないでしょう。
もし、あなたがあの方に会う前に私と会っていたら。
私は貴方を妃にするために、必死になっていたことでしょうが、それはかなわぬことです。
トウホウより、貴方の幸せをお祈りしています。
大事な新婚旅行の最後に、私たちのいざこざに巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした。
―――――――――――
拝啓 清聖さま
俺なんかをそんなふうに思ってくださっていたなんて、恐縮です。
俺の太陽は、夫です。
たとえ、王様でも、彼より地位がある方でもお金をお持ちの方でも
誰より、俺は彼がいいのです。
私への思いは、命の危機のことだったので、ある意味つり橋効果だったと思いますよ。
きっと、貴方の相手は、他にいると思います。
海里様が元気になったら、そちらへ送ります。
――――――――――
「彼は何が言いたかったんだ…。いい人でよかった。とは思うが。」
「きっと、俺に振られたかったんだよ。前に進むために。」
さて、海里さんの様子をみにいかなきゃ。
くらっとなる体をブラックが支える。
「気を付けて。一人の体じゃないんだから。」
「ありがとう。」
一階の奥の客間に、彼はいる。
彼の体は細く、だいぶ痩せてしまった。
「ミリー先生…!」
「いいの、いいの。横になっていて。」
「ですが、先生も…。」
「いいの。俺にはブラックがいるから。」
清聖にはなんて説明したらいいのか分からなくて、手紙に書けなかった。
あのろくでなしの子を、海里さんは孕んでしまっていたのだ。
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