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悪が栄えたためし無し3
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「お兄さま…!」
ポアプルは、がくがくと震える兄に駆け寄って抱きしめた。
長男が領地経営で引きこもっているために、王都で仕事をしている下の兄が、伯爵代理で参加していたのだ。
恋人も婚約者も作らず、学問に身を捧げている清らかな兄が、もう少しでこんな男に穢されるところだったなんて。
三兄弟の中では、各段に小柄で可愛らしい見た目の自分がいたせいで、周りからも特に言われてこなかっただろうが、下の兄もどちらかといえば、男に絡まれるタイプだった。
自分がいたから、ポアプルに皆目が向き、そんなふうに扱われる機会がなかっただけ。
だから、初めてのことで兄は余計にショックだろうと思った。
「うぐぐ……。」
黒闇は下唇をかみしめた。
「アニス殿下!」
ブラックがミリーを伴って現れる。
「ヒッ…!スパイス王国の獅子!」
やばいやばいやばい。
黒闇は体中から汗を流した。
「その男は、トウホウの皇帝ではありません。先帝の崩御を機に、おじと国の乗っ取りを企てたのです。俺たちが旅行で偶然、本来の皇帝が襲われるところに立ち会い、その縁で国を取り返すのを手伝ってまいりました。こちらがその書状。」
会場がざわつく。
離れたところでミリーが海里と接触、保護している。
やはり、体が辛かったらしい。
ミリーが回復魔法で楽にしてやったようだ。
「んっ、な、そんなっ!」
「あなたを唆したおじ、そして共犯の母親は処刑されました。国にいた貴方の仲間もすべて。こちらに連れてきたあなたの部下は、今、俺の部下たちが拘束しています。あなたをこの場で処刑してもいいと、清聖皇帝から許可をいただいておりますよ。」
「そんな………。そんなぁぁああ………。」
黒闇はへたり込み、拘束されて会場を後にした。
処刑して、サメの餌にしたらいいんじゃないかと思うので、後でクミン様や陛下たちに進言しよう。
クローヴ様が泣いた時点で、あいつ、クローヴ様にもよからぬことを考えてたはずだし。
ブラックはちょっとすっきりした。
「ありがとうございます、助けていただいてありがとうございます!アニス殿下、この御恩は忘れません!なにか、僕ができることがあれば、お役に立たせてください!」
スパークリングは律儀な性格らしい。
「そんな、感謝されることでは……。」
「いいじゃないか、今、補佐官は臨時だろう?あまり他国の方にお願いするべきことではないし。どうだろう、彼にアニスの補佐官になってもらうのは。」
ホワイトは、閃いた。
「あ、それはいいかもしれません!兄はものすごく有能なんですよ!」
「でも、学者さんでお仕事忙しいのでは…。」
「大丈夫です!僕は速読と速記が特技だし、左手と右手を同時に使えるので、事務仕事なら人より早くできます!」
アニスは有能な部下を獲得した。
ポアプルは、がくがくと震える兄に駆け寄って抱きしめた。
長男が領地経営で引きこもっているために、王都で仕事をしている下の兄が、伯爵代理で参加していたのだ。
恋人も婚約者も作らず、学問に身を捧げている清らかな兄が、もう少しでこんな男に穢されるところだったなんて。
三兄弟の中では、各段に小柄で可愛らしい見た目の自分がいたせいで、周りからも特に言われてこなかっただろうが、下の兄もどちらかといえば、男に絡まれるタイプだった。
自分がいたから、ポアプルに皆目が向き、そんなふうに扱われる機会がなかっただけ。
だから、初めてのことで兄は余計にショックだろうと思った。
「うぐぐ……。」
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「アニス殿下!」
ブラックがミリーを伴って現れる。
「ヒッ…!スパイス王国の獅子!」
やばいやばいやばい。
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「その男は、トウホウの皇帝ではありません。先帝の崩御を機に、おじと国の乗っ取りを企てたのです。俺たちが旅行で偶然、本来の皇帝が襲われるところに立ち会い、その縁で国を取り返すのを手伝ってまいりました。こちらがその書状。」
会場がざわつく。
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やはり、体が辛かったらしい。
ミリーが回復魔法で楽にしてやったようだ。
「んっ、な、そんなっ!」
「あなたを唆したおじ、そして共犯の母親は処刑されました。国にいた貴方の仲間もすべて。こちらに連れてきたあなたの部下は、今、俺の部下たちが拘束しています。あなたをこの場で処刑してもいいと、清聖皇帝から許可をいただいておりますよ。」
「そんな………。そんなぁぁああ………。」
黒闇はへたり込み、拘束されて会場を後にした。
処刑して、サメの餌にしたらいいんじゃないかと思うので、後でクミン様や陛下たちに進言しよう。
クローヴ様が泣いた時点で、あいつ、クローヴ様にもよからぬことを考えてたはずだし。
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「ありがとうございます、助けていただいてありがとうございます!アニス殿下、この御恩は忘れません!なにか、僕ができることがあれば、お役に立たせてください!」
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「そんな、感謝されることでは……。」
「いいじゃないか、今、補佐官は臨時だろう?あまり他国の方にお願いするべきことではないし。どうだろう、彼にアニスの補佐官になってもらうのは。」
ホワイトは、閃いた。
「あ、それはいいかもしれません!兄はものすごく有能なんですよ!」
「でも、学者さんでお仕事忙しいのでは…。」
「大丈夫です!僕は速読と速記が特技だし、左手と右手を同時に使えるので、事務仕事なら人より早くできます!」
アニスは有能な部下を獲得した。
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