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静観と暗躍
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あれは、ソルトであってソルトじゃない。
二人の間で揺れたソルトは、祝福の影響で、分身を産んでいるのだということが分かった。
今は元の体に戻っているが、最終的にどうなるか予測がつかない。
それがホワイトの見立てだった。
「いいですか、ソルトにはこのことは言わないように。分身が来ても、本体じゃないのですから、浮かれて無体なことはしないように。ただし、これはチャンスかもしれないですよ?分身をより惚れさせれば、本体に影響があるかもしれないですからね。」
「分かった。」
「キスくらいはいいよな?」
「ディープじゃなければいいんじゃないですか。あなた方の理性を信じますよ。」
やった、と二人それぞれ拳を握る。
「あ、ブラック。落ち着いたところで。せっかく皆集まったのだから、話をしたい。マドレーヌ嬢からの情報から整理した。」
カモミールは騎士団長の顔になり、みな場所をかえた。
第一王子派の過激派。刺客を送り、殺そうとしているのは誰か。
国内で広く商会を営んでいるマルト侯爵。
事件を起こした娘の親のガトー子爵は、マルト侯爵の縁戚。
そして、教会だ。
「マルト侯爵は分かる。クミンをだまして、国内でだいぶ上手い汁を吸っているんだろう。しかし、教会?」
アニスは眉を寄せた。
「下水道整備や、今、ソルトが考えている国営の病院建設。明らかに病気で死ぬ人間や、治療にかかる人間は減っていますからね。」
ブラックの言葉に合点がいった。
「教会の求心力が低下している?」
「そうだ。治療の機会も減ったから、ついでに収入もな。奴らぼったくっていたから自業自得だが。民のために次々と取り組んでいるソルトを女神と崇める者も多いようだし、ソルトが邪魔で仕方ない。それで、第一王子派閥と手を組んだんだ。」
おそらく、呪いを教えたのも。
教会。
手を出すには、難しい。
しっかりした明らかな証拠を掴まなければ。
二人の間で揺れたソルトは、祝福の影響で、分身を産んでいるのだということが分かった。
今は元の体に戻っているが、最終的にどうなるか予測がつかない。
それがホワイトの見立てだった。
「いいですか、ソルトにはこのことは言わないように。分身が来ても、本体じゃないのですから、浮かれて無体なことはしないように。ただし、これはチャンスかもしれないですよ?分身をより惚れさせれば、本体に影響があるかもしれないですからね。」
「分かった。」
「キスくらいはいいよな?」
「ディープじゃなければいいんじゃないですか。あなた方の理性を信じますよ。」
やった、と二人それぞれ拳を握る。
「あ、ブラック。落ち着いたところで。せっかく皆集まったのだから、話をしたい。マドレーヌ嬢からの情報から整理した。」
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国内で広く商会を営んでいるマルト侯爵。
事件を起こした娘の親のガトー子爵は、マルト侯爵の縁戚。
そして、教会だ。
「マルト侯爵は分かる。クミンをだまして、国内でだいぶ上手い汁を吸っているんだろう。しかし、教会?」
アニスは眉を寄せた。
「下水道整備や、今、ソルトが考えている国営の病院建設。明らかに病気で死ぬ人間や、治療にかかる人間は減っていますからね。」
ブラックの言葉に合点がいった。
「教会の求心力が低下している?」
「そうだ。治療の機会も減ったから、ついでに収入もな。奴らぼったくっていたから自業自得だが。民のために次々と取り組んでいるソルトを女神と崇める者も多いようだし、ソルトが邪魔で仕方ない。それで、第一王子派閥と手を組んだんだ。」
おそらく、呪いを教えたのも。
教会。
手を出すには、難しい。
しっかりした明らかな証拠を掴まなければ。
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