17 / 133
遅れてきた思春期(中)
しおりを挟む
僕たちは、持ってきた缶詰をあけて、簡単な夕飯をとった後、交代でお風呂に入った。
二人が僕に先に入ることを勧めるから、先に入っちゃった。
僕の後にどちらが入るかで揉めて、二人一緒に入ったけど、あんな体のおおきな団長と二人なんて狭くないかしら。
僕の婚約者候補になった二人だけど、どうして僕なんだろう。
僕は、スキがよくわからない。
どんな現象が起きるものなんだろう。
心拍数はどのくらい早くなるの?
甘酸っぱいって、味覚でも変わるの?
いつかは答えを出さないと失礼だ。
さすがに、僕のペースでいつまでも待たせるわけにはいかない。
お風呂から帰ってきた二人は、いつもと違ってラフでかっこ良くて、団長はすごく筋肉質のかっこいい体をして大人の色気がダダ漏れだったし、アニス様はすごく綺麗でかっこよかった。
寝袋でコロコロ転がったけど、何故かよく寝られなかった。
聖獣様のいる山頂まであと少し。
山の斜面は急で、足場も悪い。
先に団長が行き、杭を刺して登りやすくしてくれた。
僕やアニス様に差し出される手は大きくて、頼もしい。
この手に守られたら、幸せなんだろうな。
考えていたら、少し胸が苦しくなった。
『人の子よ、何のようだね?』
登りきった先の洞穴を進むと、白銀の鱗を持つドラゴンがそこにはいた。
ルビー色の瞳がきれい。
「神獣様。突然訪れて申し訳ありません。失礼ながら、浄化の石を分けていただきたく参りました。」
僕は、なるべく丁寧に答えた。
『なんに使う。』
「………えっと、ケーキ王国みたいに下水道整備に。」
どうしよう、神獣様が睨んでる。
うまく説明できないよ!
「私が代わりに説明します。私は、スパイス王国第二王子のアニス=シード=スパイスです。我が国には疫病があります。そして、犠牲になるのは、民。貧しい者ほど犠牲になります。公費で国中の下水道整備を進めておりますが、下水の浄化には、どうしても石が必要なのです。お願い致します。代わりに何かをと仰られるなら、我々にできることなら何でも致します!」
「アニスさま………」
真剣な顔で神獣様と向き合う。
胸がまた苦しくなった。
僕、何か病気かしら。
『ほう、面白い。ならば、お前のその美しい青い目を一つ、貰おうか。』
え?
「いいでしょう。」
えっ。
「待って、何か他のものを」
僕が止めようとするけど、アニス様は自分の目を抉ろうとした。
『待て、目はいらない。』
神獣様が止める。
『お前の本気を見たかっただけだ。そこのでかいの。私の鱗を一枚、剥がすといい。お前が一番うまそうだ。できるだけ痛くないように剥がせ。それが求めていたものだ。』
「ありがとうございます!」
団長が一枚剥がす。
『………っ。代わりにといってはなんだが、麓に一度連れて行け。久しぶりに山を降りたくなった。』
そういうと、神獣様は白銀の髪の青年に姿を変えた。
二人が僕に先に入ることを勧めるから、先に入っちゃった。
僕の後にどちらが入るかで揉めて、二人一緒に入ったけど、あんな体のおおきな団長と二人なんて狭くないかしら。
僕の婚約者候補になった二人だけど、どうして僕なんだろう。
僕は、スキがよくわからない。
どんな現象が起きるものなんだろう。
心拍数はどのくらい早くなるの?
甘酸っぱいって、味覚でも変わるの?
いつかは答えを出さないと失礼だ。
さすがに、僕のペースでいつまでも待たせるわけにはいかない。
お風呂から帰ってきた二人は、いつもと違ってラフでかっこ良くて、団長はすごく筋肉質のかっこいい体をして大人の色気がダダ漏れだったし、アニス様はすごく綺麗でかっこよかった。
寝袋でコロコロ転がったけど、何故かよく寝られなかった。
聖獣様のいる山頂まであと少し。
山の斜面は急で、足場も悪い。
先に団長が行き、杭を刺して登りやすくしてくれた。
僕やアニス様に差し出される手は大きくて、頼もしい。
この手に守られたら、幸せなんだろうな。
考えていたら、少し胸が苦しくなった。
『人の子よ、何のようだね?』
登りきった先の洞穴を進むと、白銀の鱗を持つドラゴンがそこにはいた。
ルビー色の瞳がきれい。
「神獣様。突然訪れて申し訳ありません。失礼ながら、浄化の石を分けていただきたく参りました。」
僕は、なるべく丁寧に答えた。
『なんに使う。』
「………えっと、ケーキ王国みたいに下水道整備に。」
どうしよう、神獣様が睨んでる。
うまく説明できないよ!
「私が代わりに説明します。私は、スパイス王国第二王子のアニス=シード=スパイスです。我が国には疫病があります。そして、犠牲になるのは、民。貧しい者ほど犠牲になります。公費で国中の下水道整備を進めておりますが、下水の浄化には、どうしても石が必要なのです。お願い致します。代わりに何かをと仰られるなら、我々にできることなら何でも致します!」
「アニスさま………」
真剣な顔で神獣様と向き合う。
胸がまた苦しくなった。
僕、何か病気かしら。
『ほう、面白い。ならば、お前のその美しい青い目を一つ、貰おうか。』
え?
「いいでしょう。」
えっ。
「待って、何か他のものを」
僕が止めようとするけど、アニス様は自分の目を抉ろうとした。
『待て、目はいらない。』
神獣様が止める。
『お前の本気を見たかっただけだ。そこのでかいの。私の鱗を一枚、剥がすといい。お前が一番うまそうだ。できるだけ痛くないように剥がせ。それが求めていたものだ。』
「ありがとうございます!」
団長が一枚剥がす。
『………っ。代わりにといってはなんだが、麓に一度連れて行け。久しぶりに山を降りたくなった。』
そういうと、神獣様は白銀の髪の青年に姿を変えた。
31
お気に入りに追加
1,408
あなたにおすすめの小説
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される
秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】
哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年
\ファイ!/
■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ)
■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約
力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。
【詳しいあらすじ】
魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。
優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。
オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。
しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。
敵国軍人に惚れられたんだけど、女装がばれたらやばい。
水瀬かずか
BL
ルカは、革命軍を支援していた父親が軍に捕まったせいで、軍から逃亡・潜伏中だった。
どうやって潜伏するかって? 女装である。
そしたら女装が美人過ぎて、イケオジの大佐にめちゃくちゃ口説かれるはめになった。
これってさぁ……、女装がバレたら、ヤバくない……?
ムーンライトノベルズさまにて公開中の物の加筆修正版(ただし性行為抜き)です。
表紙にR18表記がされていますが、作品はR15です。
illustration 吉杜玖美さま
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
音楽の神と呼ばれた俺。なんか殺されて気づいたら転生してたんだけど⁉(完)
柿の妖精
BL
俺、牧原甲はもうすぐ二年生になる予定の大学一年生。牧原家は代々超音楽家系で、小さいころからずっと音楽をさせられ、今まで音楽の道を進んできた。そのおかげで楽器でも歌でも音楽に関することは何でもできるようになり、まわりからは、音楽の神と呼ばれていた。そんなある日、大学の友達からバンドのスケットを頼まれてライブハウスへとつながる階段を下りていたら後ろから背中を思いっきり押されて死んでしまった。そして気づいたら代々超芸術家系のメローディア公爵家のリトモに転生していた!?まぁ音楽が出来るなら別にいっか!
そんな音楽の神リトモと呪いにかけられた第二王子クオレの恋のお話。
完全処女作です。温かく見守っていただけると嬉しいです。<(_ _)>
転生したらBLゲーの負け犬ライバルでしたが現代社会に疲れ果てた陰キャオタクの俺はこの際男相手でもいいからとにかくチヤホヤされたいっ!
スイセイ
BL
夜勤バイト明けに倒れ込んだベッドの上で、スマホ片手に過労死した俺こと煤ヶ谷鍮太郎は、気がつけばきらびやかな七人の騎士サマたちが居並ぶ広間で立ちすくんでいた。
どうやらここは、死ぬ直前にコラボ報酬目当てでダウンロードしたBL恋愛ソーシャルゲーム『宝石の騎士と七つの耀燈(ランプ)』の世界のようだ。俺の立ち位置はどうやら主人公に対する悪役ライバル、しかも不人気ゆえ途中でフェードアウトするキャラらしい。
だが、俺は知ってしまった。最初のチュートリアルバトルにて、イケメンに守られチヤホヤされて、優しい言葉をかけてもらえる喜びを。
こんなやさしい世界を目の前にして、前世みたいに隅っこで丸まってるだけのダンゴムシとして生きてくなんてできっこない。過去の陰縁焼き捨てて、コンプラ無視のキラキラ王子を傍らに、同じく転生者の廃課金主人公とバチバチしつつ、俺は俺だけが全力でチヤホヤされる世界を目指す!
※頭の悪いギャグ・ソシャゲあるあると・メタネタ多めです。
※逆ハー要素もありますがカップリングは固定です。
※R18は最後にあります。
※愛され→嫌われ→愛されの要素がちょっとだけ入ります。
※表紙の背景は祭屋暦様よりお借りしております。
https://www.pixiv.net/artworks/54224680
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる