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赤い一族
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「わたしい、私は、かえるの!あの美しい場所へ!かえるの!アレさえ、アレさえ動けばッ!この惑星のエネルギーを吸い上げればっ、甦るのにっ!」
視点が迷い、狼狽える。
紫がおたけび、そこかしこが揺れ、壁がひび割れていく。
「なっ………!」
エルを抱き込むようにする。
茶色の髪の女が、俺たちの前に立った。
「逃げなさい!此処はもうダメ!」
「フローラあっ」
紫の血走った目がこちらを捕らえた。
「早く!」
突き飛ばされた瞬間、天井から瓦礫が落ちてふさいだ。
『大丈夫!私が始末をつけます!』
『どけえ!フローラ!』
なんだか懐かしい人。
もしかして、あの人は…………。
「行こう。エル。」
二人で来た道を戻る。
船では、洗脳がとけた人たちが右往左往して出立するところだった。
問題は――――――
ヒュオオ、と風が頬をなでる。
地殻変動で道が隆起し、海岸まで平坦な道だったはずの入り口は、切り立った崖になっていた。
「!」
また、地面が揺れる。
ここはきっと、激しい地殻変動を繰り返し沈むのだ。
あの魔女と銀色の何かを道連れに。
だが、次に沈むタイミングを待つわけにはいかない。
「一か八か飛び降りよう。水面をめがければなんとか」
「待って。もしかしたら――――――」
エルは瞳を赤く光らせた。
視点が迷い、狼狽える。
紫がおたけび、そこかしこが揺れ、壁がひび割れていく。
「なっ………!」
エルを抱き込むようにする。
茶色の髪の女が、俺たちの前に立った。
「逃げなさい!此処はもうダメ!」
「フローラあっ」
紫の血走った目がこちらを捕らえた。
「早く!」
突き飛ばされた瞬間、天井から瓦礫が落ちてふさいだ。
『大丈夫!私が始末をつけます!』
『どけえ!フローラ!』
なんだか懐かしい人。
もしかして、あの人は…………。
「行こう。エル。」
二人で来た道を戻る。
船では、洗脳がとけた人たちが右往左往して出立するところだった。
問題は――――――
ヒュオオ、と風が頬をなでる。
地殻変動で道が隆起し、海岸まで平坦な道だったはずの入り口は、切り立った崖になっていた。
「!」
また、地面が揺れる。
ここはきっと、激しい地殻変動を繰り返し沈むのだ。
あの魔女と銀色の何かを道連れに。
だが、次に沈むタイミングを待つわけにはいかない。
「一か八か飛び降りよう。水面をめがければなんとか」
「待って。もしかしたら――――――」
エルは瞳を赤く光らせた。
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