紫の魔女とたたかう赤い瞳は金の瞳の騎士にあう

竜鳴躍

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ジョン=クルーズ

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マルク警部補は、腑に落ちない、釈然としない感情を抱えたまま、オフィスのある安雑居ビルの階段を下りていた。

ジョン=クルーズと会ったのは、今から5年前。

まだ、彼が19歳になったころくらいだっただろうか。


結婚詐欺師を捕まえてみたら、聞いていた年齢より若そうだったので、吐かせてみたら未成年だった。


ジョンは、身長が高く、大人びていたし、女が好みそうなルックスで、そのころすでに5人の女を渡り歩いていたけど、やったことの割には、すれた感じのしない、どこか精錬さを持ち合わせた不思議な男だった。


出身は、エリーゼ孤児院。

ところが、この孤児院は経営不振で彼が15歳の頃にシュナイツ孤児院に統合されている。

当時、エリーゼにいた子どもは、彼を筆頭に16人。

その中には、足の悪い少女もいた。

統合先のシュナイツでは、収容できるのは15人までと言われて、ジョンはその日の晩に孤児院を抜け出す。


そこから、どう転んだのか。

悪い女に初めは騙されたのか。


悪気があってもなくても、結果的に女をだまして、金銭を得たのであれば結婚詐欺だ。


未成年であったし、不思議なことに女たち自身は、被害届を出さなかったので、彼は刑務所へは入らず、こうして俺の監視下で、探偵業務という社会貢献活動と社会復帰支援を兼ねた仕事をしている。


昔の兄弟に会っても、もういいころ合いなんだろう。

今なら、兄弟にも顔向けはできるはずだ。


アパートの1Fに下りて、警部補は煙草を一服した。
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