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なんでこんなことになった
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なんでこんなことになった。
茶色の髪を無造作に流して、カラーコンタクトで瞳の色を茶色にしている男は、路地裏に面している自分のオフィス兼住居で独り言ちた。
気味の悪い金色の目を見られ、怯えられると思いきや、少年になつかれてしまい、オフィスまでついてこられた。
そして、この少年ーーーーエルは、一向に帰ろうとしない!
安物のソファーに座っている彼に、コーヒーを出してやり、自分もコーヒーを飲みながら、考える。
ここは、こんな子どもがいていい場所でもないし、どちからといえば物騒な界隈だ。
気が進まないが、知り合いを呼んで、保護してもらおう、うん、それがいい。
「お兄さん、いい体してるね。」
ぶっとコーヒーを吹き出す。
「おまえ、まさか…そっちか?」
少年の花売りなら、まあこの界隈なら分からんではない…。
「そっち?」
「…いや、違うならいいんだけど。どういう意味だよ。」
「どっかの騎士みたいだなぁって、身長も高いし、筋肉も締まってるし。」
「…ここ、探偵事務所なんだよ。仕事柄、荒っぽいこともあるからな。でも、身長とか体格は生まれつきだな。ガキの頃からでかかったし。」
騎士、ねえ。
そんなたいそうな柄じゃないけど。
「クルセイド家って聞いたことない?」
「しらん。お前の家か?」
「そっか…。」
なんなんだ、こいつ。意味不明。
「まあ、いい。サツの知り合い呼んだから、それ飲んだら引き渡すぞ。」
「やめて!」
エルの顔が蒼白になる。
そして、俺を指さした。
「ガーネットの名において命ずる、汝、クルセイド。私の騎士として契約する!!」
「うっ…!?」
エルの赤い目が光ったような気がして、刹那、脳が一瞬焼かれるような、痛みを感じた。
目の奥が痛い。
「ジョン=クルーズ、その子か?」
コートを羽織った無精ひげの中年の男が、ノックをせずに入口から入ってきた。
俺の知り合い。職業柄つながりがある。そして、できれば会いたくない男。
マルク警部補だ。
「…あ、ああ…。」
両目を抑えながら、応える。
「坊や、この町は危険だ。この男もな。だからおいで?おじさんと行こう。」
エルはふるふると落ち着いた様子で首を横に振った。
「僕、ジョン兄さんに会いに来たの。兄さんたらひどいよ、僕を追い返そうとしてお巡りさん呼ぶなんて。」
おま、だれがお前の兄さんだよ?
ーーーーーそう思っているのに、口が勝手に動く。
「ああ、すまん…。と、いうわけだ。わざわざ非番中呼んだのに申し訳ない。」
くそっ、俺はお前にもう逆らえないってことか!? そうなのか??
「兄? お前孤児院出身で身寄りがないんじゃなかったか?」
「孤児院時代の…弟同然ってやつだよ。」
また口が勝手に…。
くそ、くそっ。
こうして、マルクも帰ってしまい。
俺はこいつと一緒に暮らすことになった。
「大体、なんで騎士なんだよ。お前、俺のこと優しい親切な人とでも勘違いしてないか?」
「優しいでしょ?」
「ーーーーーー言っとくけど、俺、元結婚詐欺師だから。あいつにつかまって、足洗ったけど。お前がおもってるより、俺は狡いし、汚いし。初対面の俺にそんな信頼を寄せるな、お坊ちゃん。」
言い捨てると、
エルは驚いたような顔をして、焦りと、なにか感情が入り混じったような複雑な表情をした。
茶色の髪を無造作に流して、カラーコンタクトで瞳の色を茶色にしている男は、路地裏に面している自分のオフィス兼住居で独り言ちた。
気味の悪い金色の目を見られ、怯えられると思いきや、少年になつかれてしまい、オフィスまでついてこられた。
そして、この少年ーーーーエルは、一向に帰ろうとしない!
安物のソファーに座っている彼に、コーヒーを出してやり、自分もコーヒーを飲みながら、考える。
ここは、こんな子どもがいていい場所でもないし、どちからといえば物騒な界隈だ。
気が進まないが、知り合いを呼んで、保護してもらおう、うん、それがいい。
「お兄さん、いい体してるね。」
ぶっとコーヒーを吹き出す。
「おまえ、まさか…そっちか?」
少年の花売りなら、まあこの界隈なら分からんではない…。
「そっち?」
「…いや、違うならいいんだけど。どういう意味だよ。」
「どっかの騎士みたいだなぁって、身長も高いし、筋肉も締まってるし。」
「…ここ、探偵事務所なんだよ。仕事柄、荒っぽいこともあるからな。でも、身長とか体格は生まれつきだな。ガキの頃からでかかったし。」
騎士、ねえ。
そんなたいそうな柄じゃないけど。
「クルセイド家って聞いたことない?」
「しらん。お前の家か?」
「そっか…。」
なんなんだ、こいつ。意味不明。
「まあ、いい。サツの知り合い呼んだから、それ飲んだら引き渡すぞ。」
「やめて!」
エルの顔が蒼白になる。
そして、俺を指さした。
「ガーネットの名において命ずる、汝、クルセイド。私の騎士として契約する!!」
「うっ…!?」
エルの赤い目が光ったような気がして、刹那、脳が一瞬焼かれるような、痛みを感じた。
目の奥が痛い。
「ジョン=クルーズ、その子か?」
コートを羽織った無精ひげの中年の男が、ノックをせずに入口から入ってきた。
俺の知り合い。職業柄つながりがある。そして、できれば会いたくない男。
マルク警部補だ。
「…あ、ああ…。」
両目を抑えながら、応える。
「坊や、この町は危険だ。この男もな。だからおいで?おじさんと行こう。」
エルはふるふると落ち着いた様子で首を横に振った。
「僕、ジョン兄さんに会いに来たの。兄さんたらひどいよ、僕を追い返そうとしてお巡りさん呼ぶなんて。」
おま、だれがお前の兄さんだよ?
ーーーーーそう思っているのに、口が勝手に動く。
「ああ、すまん…。と、いうわけだ。わざわざ非番中呼んだのに申し訳ない。」
くそっ、俺はお前にもう逆らえないってことか!? そうなのか??
「兄? お前孤児院出身で身寄りがないんじゃなかったか?」
「孤児院時代の…弟同然ってやつだよ。」
また口が勝手に…。
くそ、くそっ。
こうして、マルクも帰ってしまい。
俺はこいつと一緒に暮らすことになった。
「大体、なんで騎士なんだよ。お前、俺のこと優しい親切な人とでも勘違いしてないか?」
「優しいでしょ?」
「ーーーーーー言っとくけど、俺、元結婚詐欺師だから。あいつにつかまって、足洗ったけど。お前がおもってるより、俺は狡いし、汚いし。初対面の俺にそんな信頼を寄せるな、お坊ちゃん。」
言い捨てると、
エルは驚いたような顔をして、焦りと、なにか感情が入り混じったような複雑な表情をした。
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