悪役令嬢は断罪されない

竜鳴躍

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最終章前夜:悪役令嬢は永遠に1

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私の婚約者のお披露目の日が来た。


見よ!私のマリーの、これが真の姿だ!!!


私は鼻高々でマリーをエスコートする。

マリーの清楚な魅力と細身の体を活かすなら、マーメイドラインの白のドレス。
白い生地には刺繍とレースをふんだんに施し、足のラインには美しいドレープを。
刺繍にはキラキラ光る糸を使用したので、光を反射して、歩くたびに輝く。
茶色の髪は、編み込みをしてアップにまとめ、百合の花をあしらう。
化粧は、ほのかにブルーをベースにくどくない程度に。
マリーは目鼻立ちは整っているので、化粧映えする。
今回は、アイメイクを強調させた。
学園で淑女教育を受けましたからね、私自ら化粧しましたよ!えっへん。


「おお…なんと美しい。まるで、百合の花の精のようだ。」

「えっ…?あれが…あの……?」

「嘘…。まさかあんなに綺麗だったなんて。」


会場のどよめきが聞こえてくる。


さすがに、無視したり、嘲笑していた悪役令嬢が、本当は王太子自身だったのだから、同級生はバツが悪いのか、面と向かって手のひら返しや、私たちの婚約について文句は言ってこなかったけれど。

私は知っているぞ?

私たちにはリチャードという優秀な社畜がついてるからな?

君たちは私をブス専だの、地味専だの言っていたね?

私のことはどうでもいいんだ、私が許せないのは、私のマリーがブスとか思われていることだよ!!

さあ見るがいい!

どこがブスだね?ん?



「…あの、私、変じゃないでしょうか?」

隣のマリーが恥じらいながら、私を見つめる。

ああ、斜めからの見上げる顔、可愛い。すごくかわいい。
早く結婚式したいなぁ。
結婚するまでプラトニックでいなくちゃいけないからなあ。
きっと、この子のことだから、結婚前に本で勉強して、めちゃくちゃ恥ずかしがるんだろうなぁ。

「ぜんぜん変じゃないよ。いつものマリーも可愛いだけど、今日のマリーも可愛いよ。」

そういうと、また、真っ赤になる。


「王太子殿下、この度はおめでとうございます。」

マリーばかりを見てる間に、いつの間にかクレイソン公爵が現れた。

ミレニアの父上とは同じ公爵だが、立場的には彼は下だ。宰相の部下として、こまごまとしたことをいつもしている印象がある。

とはいえ、彼も王家の親族にあたる。

亡くなったおじい様の弟の、息子だった。


「ありがとうございます。クレイソン公爵。」

祝いを受けていると、また、だれかがやってきた。

クレイソン公爵の息子か。

「私からもおめでとうございます。…大変恐縮なのですが、お近づきの記念に、マリーさまと1曲踊らせていただいてもよろしいでしょうか?」

む。

本心では嫌だが、ファーストダンスは踊った後だし、仕方がない。

マリーも心得ているので、私に合図をして、ダンスに向かった。


何故か、そのあとも私のところへは話に来るものが多く、いつのまにか時間が過ぎていき。



そして、事件は起こった。






「大変だ! マリーさまが何者かに攫われた!!」




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