犬猿の仲の他国の将軍は敵国王を娶りたい

最終話 新しい国と傷と未来

ブルックが王の間はいい。だがその後もうまくやるためには、教育が必要だ。


この国では、今、人間と獣人の子どもが机を並べて勉強している。

学問を教えてあげる人間の子ども。
体育は獣人がヒーローだ。

お互いの劣ったところを蔑むのではなく、いいところを認め合い、助け合う。


子どもから大人へ伝播し、少しずつだが、関係は良くなってきている。


獣人と暮らせない、という者には、手厚い援助をして他国へ移住を勧めた。

中には名前を変えて、別人としてやり直す者もいる。


望まない混血児は、奴隷から解放し、全て国が養育する。

愛情深く接し、教養を与えて、そのうち彼らは城で雇用する。



「くぅ～。くぅ～。」


ラグの上でおひさまを浴びて、気持ち良さそうにまあるくなって。

お昼寝する父子。


「ふふっ、そっくり。」



つんつんと、頬を突くと、むず痒がって。


この幸せな日々が、俺たちの結末。




キィを挟んで、俺も横になる。


ふぅっと目を覚ますブルックと目があって、彼は柔らかく笑う。

笑いあって、彼の触れる俺の腹は膨らみ始めていて。


新しい時代。

街には人と獣人の笑い声が聞こえ、一緒に遊ぶ子どもたち。


指と指を繋いだ。