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面白くない
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エン将軍は面白くない。
思いの外、馴染んでるこの男。
夫、父親というよりペットだが。
「おとうさま!いきますよ!」
「ボール!ボール!」
「ははは、キャッチボールが別の競技に見える。」
「……全く絆されて。」
「まあ、言うな。あれは素直だし賢いし従順で可愛い犬じゃないか。」
「その犬に噛まれたんですよ?」
「マーキングらしい。そもそも彼の番にならなければ、他の兵士たちに輪姦されてたのだから、もう責めないでやってほしい。」
「ですけどね。」
子どもの頃からあなたをお慕いしていたんですよ、私も。
そう簡単に割り切れるものではない。
「それはそうと、シルバーウルフ側に不審な動きはないか?」
「……今のところは。」
「彼の兄弟、親族はどうしてる?」
「元々、王は独裁的で後継者として決めた者以外には碌な扱いはしていなかったようです。無論、親族にも。むしろ、爵位と役割を与えられ、シン王に感謝していますよ。」
自分の息子にカース(呪い)と名付け、妻とした人間を殺してしまうような男なら、そうなのかもな。
「ならば、その後継者や母親はどうしてる?」
「大人しくしてますよ。今のところは。」
「そうか。監視は続けてほしい。」
シルバーウルフの宰相として、新しい国でも獣人側の宰相になった男は、気に入らない。
確かに、思ったよりシン王は、獣人に配慮してくれている。
だが、上位に立ちたいという獣の本能が苛立たせていた。
ブルックのペットのような姿も腹立たしい。
我々は犬ではない、誇り高き獣人なのに。
ふと、かつての王の後継者が、ぼやいた疑問が耳に入る。
『シン王とブルックとの間に産まれた子の耳は、何故人間のそれなのだろうか。
他の混血児で尻尾だけ、とか耳だけ獣人の外見を引き継いだ者はいないのに。』
確か、ブルックの母親には身寄りがなく、軍部に突然現れた。
あれは今思えば、獣人だったのだろうか。
もしかしたら、自分たちは初めから仕組まれていたのでは無いだろうか。
疑念が胸に渦巻く。
後継者だった王子、シリウスが影でニヤリと笑った。
思いの外、馴染んでるこの男。
夫、父親というよりペットだが。
「おとうさま!いきますよ!」
「ボール!ボール!」
「ははは、キャッチボールが別の競技に見える。」
「……全く絆されて。」
「まあ、言うな。あれは素直だし賢いし従順で可愛い犬じゃないか。」
「その犬に噛まれたんですよ?」
「マーキングらしい。そもそも彼の番にならなければ、他の兵士たちに輪姦されてたのだから、もう責めないでやってほしい。」
「ですけどね。」
子どもの頃からあなたをお慕いしていたんですよ、私も。
そう簡単に割り切れるものではない。
「それはそうと、シルバーウルフ側に不審な動きはないか?」
「……今のところは。」
「彼の兄弟、親族はどうしてる?」
「元々、王は独裁的で後継者として決めた者以外には碌な扱いはしていなかったようです。無論、親族にも。むしろ、爵位と役割を与えられ、シン王に感謝していますよ。」
自分の息子にカース(呪い)と名付け、妻とした人間を殺してしまうような男なら、そうなのかもな。
「ならば、その後継者や母親はどうしてる?」
「大人しくしてますよ。今のところは。」
「そうか。監視は続けてほしい。」
シルバーウルフの宰相として、新しい国でも獣人側の宰相になった男は、気に入らない。
確かに、思ったよりシン王は、獣人に配慮してくれている。
だが、上位に立ちたいという獣の本能が苛立たせていた。
ブルックのペットのような姿も腹立たしい。
我々は犬ではない、誇り高き獣人なのに。
ふと、かつての王の後継者が、ぼやいた疑問が耳に入る。
『シン王とブルックとの間に産まれた子の耳は、何故人間のそれなのだろうか。
他の混血児で尻尾だけ、とか耳だけ獣人の外見を引き継いだ者はいないのに。』
確か、ブルックの母親には身寄りがなく、軍部に突然現れた。
あれは今思えば、獣人だったのだろうか。
もしかしたら、自分たちは初めから仕組まれていたのでは無いだろうか。
疑念が胸に渦巻く。
後継者だった王子、シリウスが影でニヤリと笑った。
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