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兄弟

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「お兄様、こっちの剣を使ってください。聖女様のお父様がこしらえてくれました。聖水の力を宿した剣です。通常の剣よりは奴らに効くでしょう。」

金髪碧眼の王子様より王子様のようなレイン。

レインは、自分が管理している元帝国派に呼びかけ、この機にあわせてまとめ上げた。
自分たちが『悪』だと思ったものを自分たちで倒していないから燻っているのだとレインは思う。

だから、まとめて、駆けつけた。


そして、その際に、外れの教会に行き、聖女の身内である父親に協力させた。

ケンという男は、元々は年齢より若々しくてハンサムだった。
今でも、容色が衰えたとまではいかないが、真実を知り、反省し、だいぶやつれたように見えた。


さすが聖女を産んだ父である。元々素養があったようで、聖女まではいかない微力な力でも役に立つものを数でそろえた。

そして、聖水に浸した剣や矢も大量に彼が準備した。




彼と彼の息子は似ている。
彼自身には戦う力はない。

だが、手を離してしまった息子、もう二度と会えない息子を助けたいと思って、準備してくれた。


「色々思うところもあるでしょうが、有用なものはお使いください。」



ぐっと、チャーリーは剣の柄を握る。

「分かった。もっと持ってきているなら、ベリー王子やブライト団長にも渡してほしい。」

「今、私の部下が渡しています。」







リリーは祈りを捧げている。


戦う力のない、まだその域に言っているとは言えない貴族たちは、その持てる力を前線に使った。



「力が湧いてくる!」


「これなら…っ!」





「ギェエエエエエ!」

「ぐぁぁああああ!」


「そんな馬鹿な…っ、せっかく、よみがえっ…」


ベリー王子と騎士団長を筆頭に、せっかくよみがえらせた者たちが斬り裂かれて霧散する。

リリーを狙おうにも、リリーの周りにも忌々しいチャーリーやレインがいて、うまくいかない。



「なによっ、なによっ、なによっ!」
スザンナが爪を噛む。


もっと、もっと闇の力を。


にぃっと、自分を守らせている男―――――――リチャードに目が留まった。






「そうよ、あんたが王に担がれてたんでしょ!あんたが奴らを倒したらいいわ!」



禍々しい闇の力をリチャードに注入する。








【おや…あの子ったらせっかちなことだ】


サリーの声ではない。

魔の者になったサリーは最早別人格だった。



「ブラウン王子には指一本触れさせないぞ!」

【!!】


よそ見をした隙にスタンリーが飛び込んでいく。





「ぎゃああああああああああっ!」



スタンリーは優秀な騎士だ。



平凡な男だと、サリーは嘲り、油断をしていた。
心臓を一突きすると、聖剣の力で闇の力が失われ、徐々に昔の姿だけは可愛らしかったものに変化していく。


「く…グっ」


剣を握り、聖なる力で火傷を死ながら、刃を引き抜こうとしたとき、さらに荷重で刃が深く刺さった。


「スタンリー!僕も手伝う!」




(あぁ…ブラウン……さ、ま。)



2人の力で聖剣が刺さったまま、サリーは倒された。

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