聖女の力を搾取される偽物の侯爵令息は本物でした。隠された王子と僕は幸せになります!もうお父様なんて知りません!

竜鳴躍

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チャールズの本気と王子様

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「リリー、気にするな!暫く逃げて隠れておけ!」


俺の合図とともに、リリーは男爵令息の足をぎゅっと踏みつけると、振り払って逃げた。

ハリーが俺とリリーに教えたんだ。


俺もリリーも、悪い奴に捕まるかもしれなかったから。
最低限、逃げるための力を。



リリーが逃げてくれているうちに、俺はこいつらを倒すこととしよう。



チッ、と一番大柄な男が舌打ちをした。

大方、リリーを引き合いに俺の行動を縛るつもりだったんだろう。



男を犯そうとするのは骨が折れる。

しかも、ある程度戦い方を習う貴族の子息であればなおさら。




俺は壁に掛けられた木刀を取り、奴らに向かっていった。



5対1。


集団で囲まれたら分が悪い。



上段、下段で木刀を円を描くように当て、リリーが逃げた方向とは逆に誘導する。

「くっ、どこだっ!」


天井にぶら下がり、上から斬りつけて一人。


用具類の影から隠れて一人。




「お前ら、全員おしまいだな。学園の中でとはいえこんなことをして、常習犯だろう。親もかわいそうに。子の不始末のせいで全部パアだ。お前も勇気を出せ。個人情報は守られる、怯えることはない。一生、あの男に飼われるぞ!」



「…このッ!」


2人が一度に襲い掛かってくる。


一人を倒し、もう一人は男爵令息が足を捕まえていた。



「上出来。」






もう一人を倒した時、一番大柄な男の、どすの聞いた低い声で叫び声が聞こえた。















「ぎゃああああああああああああああああ!」


ザインは脂汗を掻いて、許しを請うた。


「体ばかり大きくて、こんな悪いことばかりして。将来騎士団志望だったかい?こんな破廉恥で悪列極まりない男に騎士は務まらないなぁ。」


細身の男が、ニコニコほほ笑みながら威圧する。


どこにこんな力があるのか、拳をいなし、ひっくり返すと、男はザインの背に跨って腕の骨を反対に捻り上げた。

右腕、その次は左腕。


気にせずにひねり上げたから、折れているかもしれない。



「リリー様、(力を使う)必要はないですからね。こいつにはこのまま剣を握れない体になってもらう。こういう人間が力を持つと、碌なことにならないから。暴力で人を押さえつけていた人間が、力を失ったらどうなるだろうね?君の仲間は本当に仲間かな?君みたいなタイプが好きだって人もいるみたいだから、自分が雌になったらどうかな?因果応報だね。」



「えっ…??」

リリーは男の顔をよく見て、気づいた。






ベリー王子だ!!!




リリーのところへ駆けつけたチャーリーは、ベリー王子がリリーを美しくエスコートして立ち上がらせるのを見てしまうのだった。
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