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決行はデビュタント

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「あなた、またお酒ばっかり。明日はスザンナのデビュタントがあるのですから、程々にしてくださいね。」


桃色の髪を金髪に染めているから、グラデーションになっている巻き毛を人差し指で遊びながら、年甲斐もなくキャロラインは口を尖らせた。


「うむ…。」



目を閉じると、今でもマリーを思い出す。


キャロラインのように表情がころころ変わることもなく、口数も少なかったが、マリーは品があり、美しい女性だった。

女神のように美しい彼女に恋焦がれ、求婚を承諾してもらえた時は、天にも昇る喜びだった。



それなのに、結婚式の誓いのキスも、彼女はブーケ越しでしか許してくれず、初夜も…。

手袋越しでしか手を繋ぐことさえできず、私は望まれていないのだと知った。



目の前で自慰を強要されて、辱められたと感じた。

私が出したモノをどこかに持っていくとかどうするとか何か言っていた気がするが、私は恥ずかしくて頭に入ってこなかった。



こんな扱いをうけていて、知り合った宿屋の女と懇意になり、スザンナが生まれた。



私はマリーを愛していたはずなのに。


どうしてこんなことになったのだろう。




酒が増える。









使用人の部屋で、結界を張って。

僕たちはハリー先生の説明をよく聞いていた。

月明りが薄暗い部屋を照らしている。


「明日の夜、デビュタントで旦那様も奥様もスザンナ様も不在になります。このタイミングで屋敷を出ましょう。」

「ハリー。この侯爵家はお兄さまのものなんだろう?置いていくのか…?」

「18になるまでは、いずれにしても代理が必要になります。……手は打っていますよ。」


「ありがとう、チャーリー。僕は平気だよ。だって、大好きなチャーリーと一緒だもの。それに、今侯爵になったって、僕じゃ立派に治められないから。」


決行は明日。
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