聖女の力を搾取される偽物の侯爵令息は本物でした。隠された王子と僕は幸せになります!もうお父様なんて知りません!

竜鳴躍

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愚かな家族たちとその日を待ち望む使用人たち

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「うふふふ。今日はお城でカーグ王子とお茶会なのぉ!楽しみだわぁ!」


その本性さえ知らなければ、母親譲りのピンクの髪で可愛らしい顔立ちのスザンナ。

「王子様をスザンナの虜にするのよ。スザンナならできるわ、私の子ですもの。殿方なんてちょっと甘い顔して上目遣いをすればイチコロよ。」


「スザンナ様、お召し物をお持ちいたしました。」

侍女が王子の青い眼に合わせたドレスを持ってくる。

スザンナの目が光った。


パン!と頬が赤くなるほど強く、扇子で侍女をはたく。


「!」


「私、青は嫌いなの!!ピンクを持ってきてよ、フリルやレース、リボンがたくさんついたものじゃなきゃ、私の魅力が存分に発揮できないじゃない!」

王子の色など関係ない。

暴力を振るわれた侍女は、俯いて戻っていった。


「あなたたちも、私を美しくしなさいよ…。」


髪型やメイクをする侍女の指は震えた。






マリー様の遺した資産を食いつぶし、宝石も全て奪った女たち。

逆らえない身分なれど、使用人たちは精一杯だった。

マリー様の子ではないと旦那様は言ったが、確かにマリー様は妊娠していたし、旦那様に事前に報告している。

旦那様の種で隣国で人工的に妊娠すると。

そして産み月には、侍女を連れて隣国で出産した。

マリー様は細身でお腹が目立たなかったが、お腹が大きくなればゆったりとしたドレスを着こんで、ショールを羽織っていた。

まさか、旦那様がマリー様の言うことを理解していなかったとは。


お腹の大きな妻に気づいていなかったとは。


この家は、マリー様の家であり、旦那様には縁はない。

マリー様が亡くなった今、侯爵はリリー様だ。

旦那様が侯爵になるわけではない。


旦那様は伯爵家の三男だった。侯爵家と縁が切れれば平民である。

旦那様は、リリー様が自分の子ではないと思い込み、廃嫡届を出したが、もとより自動的にリリー様が侯爵なのだ。
廃嫡届は無効であるし、親子の縁が切れた今、旦那様の方が本来追い出される立場である。


リリー様が18になるまで、これ以上酷いことにならないように見守ろうと思っていた。

表向き、無関心を装いながら、仕事を軽減したり、食事をちょっとよくしたり…。



だが、新しく来た執事から、スザンナの嫁入りに「処置をして」同行させるつもりであることが分かった。


とんでもない。



家令以下、使用人一同は覚悟を決め、陛下への嘆願書をしたためる。

失敗して、処刑されることもあるという覚悟を持って。

マリー様には兄弟がなく、祖父母も既に亡くなっている。
信頼できない親戚をマリー様が排除していったこともあり、親戚とは疎遠。
この家には、頼りになる縁者がいないのだ。

だから、婿が幅を利かせているのだが…。



家令の書いた嘆願書は、ハリーが預かり、無事受け取っていただけたらしい。




早く、リリー様をお救いしたい。

そうすれば、マリー様の遺言どおり、チャーリー様を大事にできるはず。



多くを語らない方だったが、ああ言うということは、何かがあるのだ。




旦那様はそれも分からぬ愚か者だが。
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