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ドラマ放映終了3か月後(MARIKOざまぁ)
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夏ドラマは成功だった。
冬木香月の子役以来のドラマ。
クールな役が整った美貌にピッタリで、夏目太陽とのシーンには熱が入って最高だったと、高視聴率をマーク。
ヒロインは実は悪女で、実は実家は大手商社の創業家であった木村と大手ホテルマンの重役である竜胆、タイプの違う二人を誑し込みながら成り上がりを狙い、最後には翔に刺されて海で人生を終えた。
翔はヒロインの最初の彼氏で犠牲者。ヒロインのストーカーに見えたが、茜に結婚詐欺をされ、開業資金を奪われたどころか資金を取り返そうと茜に詰め寄ったひとり親の母親を殺されていた過去があった。
純真に砂浜で舞い、ダンサーになるという夢を語っていた人魚なんていなかった。
真っ暗な夜の海で、自らが生み出した死神とともに海の底に沈んだ。
輝かしい夏の恋は幻。
真夏の夜の夢。
「ヒロインかと思ったのに、ダークヒロインだなんて。そりゃ話題になったけど、私だけ学芸会言われるし、違うでしょ!二人が凄すぎなのよ!しかもなんで、その後仕事こないのよ!」
放映終了後3ヶ月。
ついに何も手帳に予定がない。
まだ、結婚相手も捕まえてない!
マネージャーはのらりくらり。
最近、ユーチューブでブレイクした顔出しなしの歌手のマネージャーも兼務している。
きいい!
いい加減どうにかしなきゃ。
MARIKOは会社に押しかけることにした。
最近、兄とも連絡がとれないし、何なんだろう。
外に出れば、視線が痛かった。
「 何か変ね?どうしたのかしら。」
会社に行くと、マネージャーはお決まりのテーブルにいる。
あれが噂の顔出しなしの歌手だろうか。
「ちょっと!満井!」
「なんですか、MARIKOさん。押しかけるなんて。」
「満井!あんたマネージャーでしょ!仕事入れなさいよ!」
「MARIKOさんに入れられる仕事なんてないですよ。」
「はあ!?」
「MARIKOさんて、芸能記者のお兄さん使って、捏造までしてライバルを嵌めてきたんですってね。アイドル時代にライバルを風俗に沈めてきた所業もバレてるんですよ。ヤーさん顔負けでビックリしましたね。今、口を閉ざしていた元アイドルの人たちが集団訴訟の準備中ですよ。MARIKOさんバカだから、インターネットしないし週刊誌も読まないですよね。知らなかったでしょう?3ヶ月前からウチにはリークがありましたけど、今月頭かな?週刊誌で一斉に上がって、もう大騒ぎなんですから。」
なんでバレてるのよ!
「ふふ、逆転したわね。」
「あんたは!」
満井と話していた女が振り返り、驚く。
よく見れば、ジーンズもその上のシャツも質が良く、洗練され、美しい女。
この女があか抜けなかった時を知っている。
同じグループだった。
「土生田小百合!あんたが噂のLilyだったの⁉」
この女は、磨けばものすごく美人になる女だった。
歌もものすごく上手くて。
芸能界で磨かれれば、すぐにあか抜けて突き出した存在になる。
私を差し置いて―――――。
そう分かっていたから、枕営業をさせてAVに行くようにさせたんだもの!
風俗嬢になったはずなのに!
「そうよ。私がLily。」
「はん!AV女優の風俗嬢が笑えるわ!だから顔出しなしの歌手なんてやってるのね!満井、私に仕事を寄こしなさいよ!書かれたことなんて嘘だったとやりこめてやるわ!そうしてくれないのなら、この女を週刊誌に売ってやる!」
「貴方って人はどれだけ腹黒なの?AVや風俗をそうやって下に見て!色んな生き方があるのよ。いろんな事情がある。そういう風に言うのは違うんじゃないかしら!」
「自分がそうだからそういうんでしょ?」
「私はならなかったわ。だからこそ今、集団訴訟を取りまとめている立場にいるのよ。顔出ししないのは別の理由。」
「お前が!取り下げろぉおおおお!!!」
「そこまでだ!」
腕をきつく掴まれた!
もう少しでこのいけ好かない女の顔面をぶちのめして、表に立てない顔にしてやったのにッ!
「誰よっ!」
「幸村プロデューサー!!」
満井が叫ぶ。
「プロデューサー⁉」
細身のスラックスにシャツの洗練された大人の美形。
こんな男と結婚したかった、そう思わせる男。
「瞬!」
「小百合!この女か!」
あんた、この上質な男とどういう関係よ!汚れた女のくせにッ!
「……お前が彼女を枕営業の場に騙して連れて行った日。同じホテルに私はいた。偶然現場に居合わせて、彼女を助けた。グループにそのままいさせたら危険だ。そう判断し、お前の計画にノって、AV業界に頼んで彼女に似た風貌の女性を彼女の名前を芸名にしてデビューしてもらった。彼女自身は、AV女優にも風俗嬢にもなっていないから、週刊誌には売れないぞ?彼女は私の妻になっただけだ。」
えっ……
「今の私は幸村小百合。プロデューサーの妻が顔出しでデビューなんてできないでしょう?」
「結婚して子どもにも恵まれたが、小百合の歌手としての才能がもったいないと感じていたから、ユーチューブで活動させたんだ。それから、デビューするというわけさ。君が陥れた子の何名かも私が助けたよ。芸能界はこりごりだって助けた子は普通に幸せに暮らしている。自分の意思で強かに生きている子もいるが。」
なんで………。
どうして…
「お前の兄ももう記者としてやっていくことはできまい。お前もそうだ。事実上の引退。紙面を騒がせないことを祈るよ。」
いやぁああぁぁ…………。
「うん、ありがとう。幸村プロデューサー。嫌な感じだったんで調べたら最悪だったから。これで二度と会わなくていいから嬉しいよ。」
『こちらこそ。因縁の相手だったからな。潰せてよかった。妻のデビューにあたって、一番の不安材料だったんだ。』
「逆上しない?」
『犯罪者として裁かれるし、こちらがそもそも被害者。因果応報だからな。しかし、君もやるな。まだまだ坊やだと思っていたよ。芸能界を生きるには、リスクマネジメントが大切だからな。今度、また一緒に仕事をしよう。』
俺も何かをしたくて。伝手が使えてよかった。
因縁があったみたいで、相談したら乗ってくれて、逆に俺が直接やるのは止められたけど…。
ドラマが終わって暫くしてからじゃないと、こっちにも影響しちゃうから、今のタイミングになっちゃった。
実は台本も変えてもらったんだよね…。
当初はヒロインは消えるけど、悪女で始末されるんじゃなくて、病気でいなくなるんだ。
入道は変な役になっちゃったけど、むしろ役の幅が広がるし、バトルシーンがあって嬉しいって喜んでたな…。
「太陽。どうしたの?仕事の電話終わった?」
「うん。」
君のためなら俺は悪い男になれるよ。
冬木香月の子役以来のドラマ。
クールな役が整った美貌にピッタリで、夏目太陽とのシーンには熱が入って最高だったと、高視聴率をマーク。
ヒロインは実は悪女で、実は実家は大手商社の創業家であった木村と大手ホテルマンの重役である竜胆、タイプの違う二人を誑し込みながら成り上がりを狙い、最後には翔に刺されて海で人生を終えた。
翔はヒロインの最初の彼氏で犠牲者。ヒロインのストーカーに見えたが、茜に結婚詐欺をされ、開業資金を奪われたどころか資金を取り返そうと茜に詰め寄ったひとり親の母親を殺されていた過去があった。
純真に砂浜で舞い、ダンサーになるという夢を語っていた人魚なんていなかった。
真っ暗な夜の海で、自らが生み出した死神とともに海の底に沈んだ。
輝かしい夏の恋は幻。
真夏の夜の夢。
「ヒロインかと思ったのに、ダークヒロインだなんて。そりゃ話題になったけど、私だけ学芸会言われるし、違うでしょ!二人が凄すぎなのよ!しかもなんで、その後仕事こないのよ!」
放映終了後3ヶ月。
ついに何も手帳に予定がない。
まだ、結婚相手も捕まえてない!
マネージャーはのらりくらり。
最近、ユーチューブでブレイクした顔出しなしの歌手のマネージャーも兼務している。
きいい!
いい加減どうにかしなきゃ。
MARIKOは会社に押しかけることにした。
最近、兄とも連絡がとれないし、何なんだろう。
外に出れば、視線が痛かった。
「 何か変ね?どうしたのかしら。」
会社に行くと、マネージャーはお決まりのテーブルにいる。
あれが噂の顔出しなしの歌手だろうか。
「ちょっと!満井!」
「なんですか、MARIKOさん。押しかけるなんて。」
「満井!あんたマネージャーでしょ!仕事入れなさいよ!」
「MARIKOさんに入れられる仕事なんてないですよ。」
「はあ!?」
「MARIKOさんて、芸能記者のお兄さん使って、捏造までしてライバルを嵌めてきたんですってね。アイドル時代にライバルを風俗に沈めてきた所業もバレてるんですよ。ヤーさん顔負けでビックリしましたね。今、口を閉ざしていた元アイドルの人たちが集団訴訟の準備中ですよ。MARIKOさんバカだから、インターネットしないし週刊誌も読まないですよね。知らなかったでしょう?3ヶ月前からウチにはリークがありましたけど、今月頭かな?週刊誌で一斉に上がって、もう大騒ぎなんですから。」
なんでバレてるのよ!
「ふふ、逆転したわね。」
「あんたは!」
満井と話していた女が振り返り、驚く。
よく見れば、ジーンズもその上のシャツも質が良く、洗練され、美しい女。
この女があか抜けなかった時を知っている。
同じグループだった。
「土生田小百合!あんたが噂のLilyだったの⁉」
この女は、磨けばものすごく美人になる女だった。
歌もものすごく上手くて。
芸能界で磨かれれば、すぐにあか抜けて突き出した存在になる。
私を差し置いて―――――。
そう分かっていたから、枕営業をさせてAVに行くようにさせたんだもの!
風俗嬢になったはずなのに!
「そうよ。私がLily。」
「はん!AV女優の風俗嬢が笑えるわ!だから顔出しなしの歌手なんてやってるのね!満井、私に仕事を寄こしなさいよ!書かれたことなんて嘘だったとやりこめてやるわ!そうしてくれないのなら、この女を週刊誌に売ってやる!」
「貴方って人はどれだけ腹黒なの?AVや風俗をそうやって下に見て!色んな生き方があるのよ。いろんな事情がある。そういう風に言うのは違うんじゃないかしら!」
「自分がそうだからそういうんでしょ?」
「私はならなかったわ。だからこそ今、集団訴訟を取りまとめている立場にいるのよ。顔出ししないのは別の理由。」
「お前が!取り下げろぉおおおお!!!」
「そこまでだ!」
腕をきつく掴まれた!
もう少しでこのいけ好かない女の顔面をぶちのめして、表に立てない顔にしてやったのにッ!
「誰よっ!」
「幸村プロデューサー!!」
満井が叫ぶ。
「プロデューサー⁉」
細身のスラックスにシャツの洗練された大人の美形。
こんな男と結婚したかった、そう思わせる男。
「瞬!」
「小百合!この女か!」
あんた、この上質な男とどういう関係よ!汚れた女のくせにッ!
「……お前が彼女を枕営業の場に騙して連れて行った日。同じホテルに私はいた。偶然現場に居合わせて、彼女を助けた。グループにそのままいさせたら危険だ。そう判断し、お前の計画にノって、AV業界に頼んで彼女に似た風貌の女性を彼女の名前を芸名にしてデビューしてもらった。彼女自身は、AV女優にも風俗嬢にもなっていないから、週刊誌には売れないぞ?彼女は私の妻になっただけだ。」
えっ……
「今の私は幸村小百合。プロデューサーの妻が顔出しでデビューなんてできないでしょう?」
「結婚して子どもにも恵まれたが、小百合の歌手としての才能がもったいないと感じていたから、ユーチューブで活動させたんだ。それから、デビューするというわけさ。君が陥れた子の何名かも私が助けたよ。芸能界はこりごりだって助けた子は普通に幸せに暮らしている。自分の意思で強かに生きている子もいるが。」
なんで………。
どうして…
「お前の兄ももう記者としてやっていくことはできまい。お前もそうだ。事実上の引退。紙面を騒がせないことを祈るよ。」
いやぁああぁぁ…………。
「うん、ありがとう。幸村プロデューサー。嫌な感じだったんで調べたら最悪だったから。これで二度と会わなくていいから嬉しいよ。」
『こちらこそ。因縁の相手だったからな。潰せてよかった。妻のデビューにあたって、一番の不安材料だったんだ。』
「逆上しない?」
『犯罪者として裁かれるし、こちらがそもそも被害者。因果応報だからな。しかし、君もやるな。まだまだ坊やだと思っていたよ。芸能界を生きるには、リスクマネジメントが大切だからな。今度、また一緒に仕事をしよう。』
俺も何かをしたくて。伝手が使えてよかった。
因縁があったみたいで、相談したら乗ってくれて、逆に俺が直接やるのは止められたけど…。
ドラマが終わって暫くしてからじゃないと、こっちにも影響しちゃうから、今のタイミングになっちゃった。
実は台本も変えてもらったんだよね…。
当初はヒロインは消えるけど、悪女で始末されるんじゃなくて、病気でいなくなるんだ。
入道は変な役になっちゃったけど、むしろ役の幅が広がるし、バトルシーンがあって嬉しいって喜んでたな…。
「太陽。どうしたの?仕事の電話終わった?」
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