人気俳優は表情筋が死んでいる人気声優の彼が好き

芸能記者がみてる

撮影が終わって、フライトまでの間、海辺を歩く。

海岸沿いには岩があり、藻が張っているので滑らないようにしたい。

海は透明度が高く、コバルトグリーンの色とネイビー、空の色が混ざり合ってグラデーションで美しい。

波が泡立ち、細かい砂粒には、小さく割れた白い貝やピンク色の貝の破片が見える。



岩陰になって人気のない方へ誘う。


２人っきりになりたい。

香月も同じ気持ちなのだろうか。

結ばれたばかりなのに、がっつきすぎで気持ち悪くないだろうか。


でも、一度触れ合ってしまえば止まらない。


最初から一つだったかのように、別れがたいのだ。






胸の鼓動が聞こえてしまわないだろうか。

はしたなくも期待していることが分からなければいいのに。

太陽は素敵な人だから、きっとライバルは多い。

僕は男だし、子どもも産めない。

それでもいいって僕を選んでくれたけど、本当にいいのかなって考えちゃう。


後からは豊兄さんたちが離れてついてきてくれている。

僕たちの安全をみてくれているの。



２人で岩陰に座り、海を見た。

そして、いつのまにか――――――。









「あぁ、ああんっ♡いいっ、もっと奥まできてぇ～！僕に熱いのをちょうだぁい！」

おいおい、あのクールな顔をして、ベッドでは娼婦顔負けだ。

草影からファインダーを突き出して、山田勇吉は興奮さながらにシャッターを切りまくった。


（俺は出世間違いなしだ！）


にやりとほくそ笑む。