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東雲旭の自宅

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「……………。ここはどこだ」


見覚えのない内装。
そこまでの広さはないが、一面が全面ガラス窓。窓の外は暗い。夜景。

キングサイズのベッド。

むくっと体を起こして窓の外を見れば、『打ち上げの場所』からそれほど離れた場所ではないことに気付く。

こじゃれた室内だが、生活感はある。

ホテルではない。


主の趣味なのか、バーテンダーが使うようなカウンターと、酒が並んだ棚がある。


打ち上げに行って。

秋口と豊さんもついていて。


「!…香月!香月はっ…!」



「冬木香月はいないよ。」


声の主は、シャワー後のけだるい感じで、濡れた髪をかき上げる。

バスローブの下はおそらく裸だろう。



「どうやって俺を…!?」


「君たちのマネージャーにお偉いさんを紹介したんだ。今日の参加者は結構多かったからね。お偉いさんは邪険にできないだろう?人も多ければ、君たちをずっと視界に入れておくことは不可能。その間に君を薬で眠らせて運んだのさ。」


「………犯罪ですよ。香月は…?」


「冬木くんも今頃は他の人にお持ち帰りされたと思うよ?」


香月…!



「さぁ、夏目くん。僕は本気なんだ。本気で君を欲しいと思ってしまった。だから僕のものになってくれ。」



「ここは、貴方の自宅ですか。飲み会の会場と近いんですね。お台場の海が見える。デザイナーズマンション、イイ趣味しています。」

「気に入ってくれたかい?」

「部屋のセンスは良いと思いますけど、一緒に暮らしたいかと言われればNOですね。残念です。尊敬していたのに。」



「……ッ。抱かれてみれば、気持ちも変わるだろう!」






「――――ッ!!!!??」


ベッドの上で押さえつけられたのは、俺じゃない。

俺を押さえつけようとしたのをそのままひっくり返し、腕の関節を捻り上げ、そのまま外した。


「ぎゃあぁああっ!」


「黙ってヤられる質じゃないんです。これで退かなければ足の方も外しますよ。それとも、ぽっきりと折った方がいいですか?喉が無事なら仕事に支障もないですね。」


「こ、このっ、こんなことしていいとっ、傷害だ!傷害事件だ!いいのか!タレント生命が終わるぞ!」



「終わりませんよ。」



「夏目さん!」「夏目君!」

部屋に、秋口と豊さんが押し入ってくる。マンションの管理会社の人も一緒だ。


「俺、昔襲われそうになったことがありまして。ちょっと抵抗の度合いをやりすぎてあわや事件になるとこだったんですよね。だから、俺には常に発信機と盗聴器が仕込まれています。盗聴器はもちろん秋口が録音してますしね。だから警察にいってもいいですけど、俺は正当防衛で無罪でしょうね。貴方の方がヤバいと思いますけど。」


管理会社を返し、東雲の襟首をつかむ。



「あんた知ってるでしょ。冬木香月はどこにいる。誰と一緒だ。」

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