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深夜の読み合わせ
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寝られない…。
だって手を伸ばせばすぐ届く場所で、香月が寝てるんだ。
俺、どうしたんだろう…。本当に。
男が好きとか女が好きとか、自分の性嗜好について考えたことは一度もなかった。
秋口は可愛いと思うけど、あれは子どもとかペットとかを可愛いと思う感覚に似てると思う。
小動物みたいで放っておけない感じなんだよな。
普通に可愛い女の子だって好きだとは思うし?
芸能人だし仕事が恋人なだけで。
でも、香月に関しては?
まだ会ったばっかりなのに、欲情するなんておかしい。
おかしいなあ~。
もしかしたら俺は男の子が好きだったのか?
学生時代に同級生の着替えで興奮した覚えはないが、考えたら、雪村ルナは男の子だった。
彼が俺の初恋だったのだろうか。
あ~自覚したらそうだった、と確信できる!
なおさら香月に欲情とかだめじゃん!
美形の男の子なら誰でもいいのか?俺!
「あ~だめだ。寝られん。」
むくっと起き上がり、台本を持ってリビングに向かう。
台本読んでいれば、気も紛れるし眠くなるかも。
***
洸は一緒に旅をしながら、勇者としての力に覚醒していく。
もう二度と家族に会えない。
そういう寂しさの中、アッシュとの日々が癒しになっていく。
大切な人。
一方、勇気と聖女たちのパーティーは南の森で中級の魔物相手に惨敗し、本当に勇気が『勇者』だったのか疑念が産まれるも、王家も王女も今更引くに引けない。
何故なら、王女も偽物の聖女だったから。
聖女の母親である王妃がかつて本物の『聖女』だったから、勇者とともに行動すれば戦いの中で目覚めるものと思われていた。
だが本当は、王妃の双子の姉で侍女をしていた女性が本物だった。
陛下が手をつけ、王子を産んだことで危機感を持った王妃が姉ごとごろつきに襲わせて、二人とも死んだはず、だった。
王女が目覚めないので追及したところ、王女が産まれて徐々に力を失ったのではなく、陰で力を使わせていた姉を排除したせいであって、元々王妃に力はなかったことを王は知る。
そして、確かに『聖女』は死んでいたが、その子はまだ生きていて、冒険者をしていた。
名前はアッシュ。
くしくも、本物の勇者は、本物の聖人と冒険をしていた。
王家や国は混沌としていく。
天童勇気も荒れていく。
<アッシュ:……魔王を倒したら、二人でどこか住みやすいところで暮らさないか。食べるだけの獲物を獲って、野菜は庭に家庭菜園でもして。たまに街に売りに行って。>
(だめだよ…。アッシュは本当は王子様なんだから。お城に帰って、素敵なお姫様と結婚して。そうしなきゃ…。)
「アッシュ。僕ね、広い世界を見てみたいんだ。一人でのんびりと。アッシュは、王様になってよ。安心して幸せに暮らせる国にして。」
「洸…。洸は俺のこと、なんとも思ってないのか?」
ハッとして振り返ると、香月が立っている。
水の入ったグラスを机に置いて、ソファの隣に腰掛けた。
「…………アッシュはみんなが大事でしょ?」
アッシュは、国を捨てられない。
「洸は隣にいてくれないのか?」
「魔王を倒そう?」
「—------ああ。」
どうしてだろう。
泣きたくなる。
***
「寝れなかったの?」
「うん。なんだかね。」
「真面目なんだね。この仕事、面白いよね。僕も、演じる仕事、大好きだよ。」
「俺も。最初は、好きな人に憧れて、一緒に仕事がしたかったから始めたんだけどね。沼にはまっちゃった。」
「………好きな人、いるんだ。」
「そう、だね。香月だっているでしょ?」
「………うん。」
その後も二人で話をしたり、台本を読み合わせて。
気付いたらそこで二人で寝ちゃってて。
朝、秋口と豊さんの叫び声で起こされて、だいぶ叱られてしまった。
さあ、今日は雑誌の表紙の撮影して時代劇の撮影だー!
わー!!!
鬘蒸れちゃうんだよな~。帰りにヘッドスパ寄らなくちゃ。
だって手を伸ばせばすぐ届く場所で、香月が寝てるんだ。
俺、どうしたんだろう…。本当に。
男が好きとか女が好きとか、自分の性嗜好について考えたことは一度もなかった。
秋口は可愛いと思うけど、あれは子どもとかペットとかを可愛いと思う感覚に似てると思う。
小動物みたいで放っておけない感じなんだよな。
普通に可愛い女の子だって好きだとは思うし?
芸能人だし仕事が恋人なだけで。
でも、香月に関しては?
まだ会ったばっかりなのに、欲情するなんておかしい。
おかしいなあ~。
もしかしたら俺は男の子が好きだったのか?
学生時代に同級生の着替えで興奮した覚えはないが、考えたら、雪村ルナは男の子だった。
彼が俺の初恋だったのだろうか。
あ~自覚したらそうだった、と確信できる!
なおさら香月に欲情とかだめじゃん!
美形の男の子なら誰でもいいのか?俺!
「あ~だめだ。寝られん。」
むくっと起き上がり、台本を持ってリビングに向かう。
台本読んでいれば、気も紛れるし眠くなるかも。
***
洸は一緒に旅をしながら、勇者としての力に覚醒していく。
もう二度と家族に会えない。
そういう寂しさの中、アッシュとの日々が癒しになっていく。
大切な人。
一方、勇気と聖女たちのパーティーは南の森で中級の魔物相手に惨敗し、本当に勇気が『勇者』だったのか疑念が産まれるも、王家も王女も今更引くに引けない。
何故なら、王女も偽物の聖女だったから。
聖女の母親である王妃がかつて本物の『聖女』だったから、勇者とともに行動すれば戦いの中で目覚めるものと思われていた。
だが本当は、王妃の双子の姉で侍女をしていた女性が本物だった。
陛下が手をつけ、王子を産んだことで危機感を持った王妃が姉ごとごろつきに襲わせて、二人とも死んだはず、だった。
王女が目覚めないので追及したところ、王女が産まれて徐々に力を失ったのではなく、陰で力を使わせていた姉を排除したせいであって、元々王妃に力はなかったことを王は知る。
そして、確かに『聖女』は死んでいたが、その子はまだ生きていて、冒険者をしていた。
名前はアッシュ。
くしくも、本物の勇者は、本物の聖人と冒険をしていた。
王家や国は混沌としていく。
天童勇気も荒れていく。
<アッシュ:……魔王を倒したら、二人でどこか住みやすいところで暮らさないか。食べるだけの獲物を獲って、野菜は庭に家庭菜園でもして。たまに街に売りに行って。>
(だめだよ…。アッシュは本当は王子様なんだから。お城に帰って、素敵なお姫様と結婚して。そうしなきゃ…。)
「アッシュ。僕ね、広い世界を見てみたいんだ。一人でのんびりと。アッシュは、王様になってよ。安心して幸せに暮らせる国にして。」
「洸…。洸は俺のこと、なんとも思ってないのか?」
ハッとして振り返ると、香月が立っている。
水の入ったグラスを机に置いて、ソファの隣に腰掛けた。
「…………アッシュはみんなが大事でしょ?」
アッシュは、国を捨てられない。
「洸は隣にいてくれないのか?」
「魔王を倒そう?」
「—------ああ。」
どうしてだろう。
泣きたくなる。
***
「寝れなかったの?」
「うん。なんだかね。」
「真面目なんだね。この仕事、面白いよね。僕も、演じる仕事、大好きだよ。」
「俺も。最初は、好きな人に憧れて、一緒に仕事がしたかったから始めたんだけどね。沼にはまっちゃった。」
「………好きな人、いるんだ。」
「そう、だね。香月だっているでしょ?」
「………うん。」
その後も二人で話をしたり、台本を読み合わせて。
気付いたらそこで二人で寝ちゃってて。
朝、秋口と豊さんの叫び声で起こされて、だいぶ叱られてしまった。
さあ、今日は雑誌の表紙の撮影して時代劇の撮影だー!
わー!!!
鬘蒸れちゃうんだよな~。帰りにヘッドスパ寄らなくちゃ。
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