人気俳優は表情筋が死んでいる人気声優の彼が好き

竜鳴躍

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同居!!(冬木視点)

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東雲さんは素晴らしい声優だけど、実はかわいい男の子が大好きで、手が早い人だ。

僕も夜のお誘いを受けそうになったことがある。

僕の場合は豊兄さんが守ってくれた。


そうしたら、『顔の演技が出来ないから声優だなんて、声優だったら簡単だって下に見てるんだろ!』と誰もいないところで呪詛を吐かれたけど…。

僕は『声優』の仕事が好きだし、誇りをもってる。だけど、僕がこういう状態である以上、何を言っても無理だろうから、真摯に仕事に向き合うことで分かってもらうしかない。

東雲さんがそう言うってことは、他の声優さんたちの中にも、言葉にしないだけでそう思っている人もいるってことだから、兄さんたちに言う必要はない。


「ふふ、本当に君かわいいね。僕が指導をしてやろうか?」

「ええーっ、本当ですか!」


少し離れたところで夏目さんが東雲さんに引っかかってる。

夏目さんは大人っぽくてしっかりしてそうだけど、こういうことには疎いらしい。
僕が助けてあげなくちゃ!


「夏目、さん!……指導、なら僕が!」


声が上ずってしまった。



収録が再開して、なんだか東雲さんと夏目さんが気になって。


東雲さんは恋多き人だけど、今回は本気だったら?
ダンディで、そういう雰囲気にして口説き落とすのが上手な人だって聞いたことがある。
無理強いしないんだけど、そういう関係にもっていくんだって。
素敵な人であることには変わりない。
夏目さんが東雲さんを好きになったらどうしよう。


胸がぐっと痛む。


あああ、演技に集中できてない。

自分でも分かる。

東雲さんの視線が痛い。

監督も何か言いたげだ。


あーもーだめだこれ。撮り直しだ。


夏目さんも戸惑ってる。


「冬木さん、何かありましたか?」

「い、いいえ。何にも?」


「あ、あの。俺、冬木さんから教わりたいです。だって、俺たち二人で主役ですしね!これから絡みもあるだろうし…、どんどん役では進展していくし。そういう雰囲気も出したいですし。って、そういう理由なら東雲さんに断っても失礼じゃないですよね?」

うんうん、と顎に手を当てて自分で納得したように頷く夏目さんの言葉が嬉しくて。


そうか、役同士はこれから…。



これから。


いずれは。



くんずほぐれつ!!!!!!!!!!!!!




「ふ、冬木さん⁉顔赤いですよ!(無表情だけど)」

「……あ、暑いですね!空調が…故障かな?」


「そうですか?」



その様子を見て、思いついたのか。


春山監督からの鶴の一声。



「夏目くん。よかったら、私の家で冬木くんと生活してみないかい?自然な、二人の距離感が欲しいんだよ。」



「え、いいんですか!?」

「ちょ…!(親父!!)」

豊兄さん、僕は乗り気だから止めなくていいよ?


「冬木君はいいよね?」


「はい。」

もちろん!!!!!!




きゃああああ!!!!!!!!

同居だって!


どうしよう!!!!
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