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冬木香月の秘密
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「おっちゃん、肉串3つ!」
赤毛のガッシリした男が隣に座った。
うわっ、芸能人みたいにカッコイイ人だ!
「あいよ!飲み物はどうする?」
「エールで!」
「………(豪快な人だなあ。)」
「ん?お前、変わった格好だな。」
「あっ!は、はいっ。」
「………ふぅん。移住者かな?住むとことか仕事は決めた?」
「あ、まだ、………」
「俺、アッシュ。冒険者。冒険者オススメだぜ?」
ニカッと人の良い笑顔を向ける。
――――――画面では。
今日はアフレコ1日目。
マイクを前に冬木はキャラクターと同じ動きをしながら、張りのある声で豪快で明るく。
時には情熱的だ。
だが、その表情は…。
スン、と無表情!!!!!!
「……やっぱな。城で召喚された異世界人だと思ったんだ。てか、許せねぇ!なんだ、そのユウキってやつ!なんでお前怒らねぇんだよ!」
「……なんででしょう、自分でもよく分からなくって…。」
「よし!俺たちで魔王を倒そうじゃねぇの!冒険者しながらさ!となれば、まずはその服だな!そんなの着てたら異世界人って宣伝してるよーなもんで、目立つし。」
ヨロシクなっ!
分厚い皮膚の大きな手。それが差し出される。
「……はい!」
カットがかかり、休憩中。
冬木もマネージャーのところで飲み物を飲んでいる。
だけどなんだ。
声優って、昔は劇団員が兼業でやってて、今でも養成所で歌にダンス、演技と普通に訓練受けるよな?
声優だからって全く顔の演技ができてないってないよな?
冬木香月はクールでプライベートはあまり表情を変えず落ち着いた男、というわけではない。
クールなんじゃなくて無表情なんだ。
どんなに熱い演技をしても無表情。
声や身振りだけが雄弁。
あ~~~~~~なんか分かった気がする。
だから『声優』なんだ。
だからそれで顔出しNGだったんだ。
こんな顔バレたら、他の仕事も舞い込む。
アイツの事務所は弱小のようだから、断れないこともある。
だから、声優だけやって、ひたすら隠した。
だけど、そのままでいいって思ってなかった。
冬木はどう思ってるか分からないけど、あのマネージャーや監督とか周りの人は、無表情を治して、その実力をのびのびと発揮できるようになって、もっともっと羽ばたいてほしいって思ってるんだ。
だから今回は顔出しに踏み切った。
………でも待てよ?
それならどうして相手役は俺なんだろう。
俺に刺激を受けると思ったのかな?
同じ年齢だし。
赤毛のガッシリした男が隣に座った。
うわっ、芸能人みたいにカッコイイ人だ!
「あいよ!飲み物はどうする?」
「エールで!」
「………(豪快な人だなあ。)」
「ん?お前、変わった格好だな。」
「あっ!は、はいっ。」
「………ふぅん。移住者かな?住むとことか仕事は決めた?」
「あ、まだ、………」
「俺、アッシュ。冒険者。冒険者オススメだぜ?」
ニカッと人の良い笑顔を向ける。
――――――画面では。
今日はアフレコ1日目。
マイクを前に冬木はキャラクターと同じ動きをしながら、張りのある声で豪快で明るく。
時には情熱的だ。
だが、その表情は…。
スン、と無表情!!!!!!
「……やっぱな。城で召喚された異世界人だと思ったんだ。てか、許せねぇ!なんだ、そのユウキってやつ!なんでお前怒らねぇんだよ!」
「……なんででしょう、自分でもよく分からなくって…。」
「よし!俺たちで魔王を倒そうじゃねぇの!冒険者しながらさ!となれば、まずはその服だな!そんなの着てたら異世界人って宣伝してるよーなもんで、目立つし。」
ヨロシクなっ!
分厚い皮膚の大きな手。それが差し出される。
「……はい!」
カットがかかり、休憩中。
冬木もマネージャーのところで飲み物を飲んでいる。
だけどなんだ。
声優って、昔は劇団員が兼業でやってて、今でも養成所で歌にダンス、演技と普通に訓練受けるよな?
声優だからって全く顔の演技ができてないってないよな?
冬木香月はクールでプライベートはあまり表情を変えず落ち着いた男、というわけではない。
クールなんじゃなくて無表情なんだ。
どんなに熱い演技をしても無表情。
声や身振りだけが雄弁。
あ~~~~~~なんか分かった気がする。
だから『声優』なんだ。
だからそれで顔出しNGだったんだ。
こんな顔バレたら、他の仕事も舞い込む。
アイツの事務所は弱小のようだから、断れないこともある。
だから、声優だけやって、ひたすら隠した。
だけど、そのままでいいって思ってなかった。
冬木はどう思ってるか分からないけど、あのマネージャーや監督とか周りの人は、無表情を治して、その実力をのびのびと発揮できるようになって、もっともっと羽ばたいてほしいって思ってるんだ。
だから今回は顔出しに踏み切った。
………でも待てよ?
それならどうして相手役は俺なんだろう。
俺に刺激を受けると思ったのかな?
同じ年齢だし。
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