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ジーン、モモに嫌われる
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「リース!」
その声に振り返ると、ノワール。
ハーウェイと、それに冒険者ギルドのマスターがいる。
熊のように大きくて毛むくじゃらだけど、温厚で優しいマスターは、きっと私のために救援に来てくれたのだろう。
「無事で良かった!」
抱きしめられる。
むにゅ。
むにゅ?
「みゅー!」
「あ、ごめんね。」
ノワールの上着から桃色のドラゴンがプハッと顔を出した。
桃色のドラゴン………。
もしかして。
「モモ!どこに行ってたんだ!」
ジーンが駆け寄るとバシン!と桃色の尾が彼の頬を打った。
「リース様、この方は?」
「このろくでなしが先ほどのドラゴンだ。回復魔法を使える私を次の妻にしようと誘拐したらしい。とんでもない、私にはノワールだけだよ。」
「リース♡」
「あなたもバカですね、リース様は夫の方ですよ。そもそもそこからして決裂が見えてますよね。」
「ううっ。でも回復魔法使いの嫁が必要なんだっ。」
「いつまで人間に迷惑かけるでち!」
再度、モモは頬を叩いた。
「回復魔法ならあたちがおぼえてやんよ!ママみたいな不幸、もうだめだからっ。王もドラゴンはドラゴン同士で結婚したらいい!」
ちいさな赤ちゃんドラゴンは、ふんふん息を吐きながら、泣いている。
「よしよし。」
「ノワママ~。」
ノワはモモを抱き上げた。
「随分なついてますね。」
「森で見つけたんだ。ママが恋しいらしくて、私がおっぱいを………。この子の魔法で出るようになっちゃって。」
頬を染めるノワールがかわいい。
「この子がここまで案内してくれたんですよ。」
ポンポン撫でられて、モモは思いを口に出し始めた。
「ドラゴンの寿命は長いでち。成長も遅くて。だから、人間のママはすぐに歳を取って死んじゃう。でもあのろくでなしは、定期的に奥さんをもらう。だから、仲間ともはなされて、ママにはあいつしかいないのに、いつでもこれまでのママがちらつくし、あいつだけ若いまま。また次を探すんだろうと思いながら、歳を取ってしぬママの辛さ!あんたにはわからないでちよ!」
その声に振り返ると、ノワール。
ハーウェイと、それに冒険者ギルドのマスターがいる。
熊のように大きくて毛むくじゃらだけど、温厚で優しいマスターは、きっと私のために救援に来てくれたのだろう。
「無事で良かった!」
抱きしめられる。
むにゅ。
むにゅ?
「みゅー!」
「あ、ごめんね。」
ノワールの上着から桃色のドラゴンがプハッと顔を出した。
桃色のドラゴン………。
もしかして。
「モモ!どこに行ってたんだ!」
ジーンが駆け寄るとバシン!と桃色の尾が彼の頬を打った。
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「リース♡」
「あなたもバカですね、リース様は夫の方ですよ。そもそもそこからして決裂が見えてますよね。」
「ううっ。でも回復魔法使いの嫁が必要なんだっ。」
「いつまで人間に迷惑かけるでち!」
再度、モモは頬を叩いた。
「回復魔法ならあたちがおぼえてやんよ!ママみたいな不幸、もうだめだからっ。王もドラゴンはドラゴン同士で結婚したらいい!」
ちいさな赤ちゃんドラゴンは、ふんふん息を吐きながら、泣いている。
「よしよし。」
「ノワママ~。」
ノワはモモを抱き上げた。
「随分なついてますね。」
「森で見つけたんだ。ママが恋しいらしくて、私がおっぱいを………。この子の魔法で出るようになっちゃって。」
頬を染めるノワールがかわいい。
「この子がここまで案内してくれたんですよ。」
ポンポン撫でられて、モモは思いを口に出し始めた。
「ドラゴンの寿命は長いでち。成長も遅くて。だから、人間のママはすぐに歳を取って死んじゃう。でもあのろくでなしは、定期的に奥さんをもらう。だから、仲間ともはなされて、ママにはあいつしかいないのに、いつでもこれまでのママがちらつくし、あいつだけ若いまま。また次を探すんだろうと思いながら、歳を取ってしぬママの辛さ!あんたにはわからないでちよ!」
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