虐げられた令息は盗賊に救われる

新婚編

数年後

あれから数年経った。


エルグランド王国は、アローお兄様とエドワード様の間に年子で男の子と女の子が生まれた。
合議制はうまく機能していて、そのうち民主制に移行しても良いなと内心思っているけれど、周りの国も王制をとっているので、自分の代ではこのあり方が限界だと思っているらしい。


アローお兄様は事務仕事に励んでいて、エドワード様は社交や騎士団の仕事を頑張っているんだって。
騎士団の仕事っていっても王妃だから普通に働くのはできない。

やろうとしたらしいけど止められて、式典に出たり、アローお兄様の近衛兵のようなポジションに落ち着いたんだって。


男の子はエドワード様そっくりで女の子はアローお兄様そっくり。


どっちかは公爵家を継いでほしいし、どっちかは王位を継いでほしいから、教育はアローお兄様主導でやっているんだって。
頭の作りはお兄様に似たようで、お兄様はほっとしているらしい。




「今夜こそ…。今夜こそ！俺が勝つ！」

「ふふっ。」


何故か寝室では勝つとか負けたとか、謎のセリフがきこえるとか。





陛下たちはご高齢だから、ジャンは陛下になった。僕が妃殿下。

僕たちの間にも、可愛い赤ちゃんが産まれた。

ジャンの赤毛に僕のアレクサンドライトの瞳の男の子。

顔は僕に似てるのかも。


従兄弟同士で血が近いせいか、魔力が強いみたいで、赤ちゃんの時は癇癪を起すと物が飛んで大変だった。

早くから魔法の先生をつけて、今ではだいぶ落ち着いている。


赤ちゃんと一緒に川の字になって、赤ちゃんと一緒にジャンをナデナデしている日々。

対抗心を燃やして、一緒におっぱいを吸ってくるのはちょっと困るんだけど。


しかたないなぁ、ってされるがままにしてるのは、甘やかしすぎかなあ。




なかなかお城には来ないジャンのご両親。

エルグランド王国に住んでいるジョニーさんとグリンさんは、今では領地を豊かにして、領民に好かれているんだって。

グリンさんなんか、社交界の花になっているんですって。

エドワード様そっくりだけど、エドワード様よりちょっと中性よりの美形だからなぁ。

アローお兄様ほどではないけれど、かなり美人だと思う。


それで、二人のところには、だ～いぶ年の離れたエドワード様とジャンの妹が。

グリンさんに似た可愛い女の子。






あの頃、虐げられていた僕は、もういない。

今僕は、とっても幸せです！





fin