虐げられた令息は盗賊に救われる

新婚編

貴方を癒したい①

 ジャンは忙しい。

騎士団の仕事はまだ引き継ぎが終わってないんだって。

王太子の仕事を僕にも振ってもらって、お手伝い。


後は、お祖母さまから仕事の引き継ぎをしたり、貴族をまとめるため、情報収集もかねてお茶会。


お茶会って、女の子がただ遊んでるんだって思ってたけど違うんだなって、猛反省しちゃった。




「おばあ様。まだ時間に余裕があるので、このお菓子、騎士団に持っていってもいいでしょうか。」

お茶会解散して、時間はちょうど騎士団の休憩時間くらい。


この時間、ジャンは騎士団にいるんだよね。

たまには差し入れしたいなあ。

このお菓子、すごくおいしかったから。



「いいわよ、侍女たちの分も含めて、たっくさんお菓子は作ってもらっているから。騎士の方たちもたまには甘いものが食べたいでしょう。殿方も意外と甘いの大好きですからね。」


御菓子を包んでもらって、騎士団に向かうと、ホリックさんがいた。


ホリックさんは、ジャンの部下。

スラム街の孤児出身で、ジャンと盗賊をしていた仲間だ。



「ポラリス殿下？どうしたんですか？その重そうな荷物。」

僕の後ろの侍女も荷物をもってくれている。


「おい、お前ら！こっちこいよ。」

ホリックが仲間を呼んで、荷物をもってくれた。


「これなんですか？」

「お菓子。騎士団のみんなにって思って。」


「やったあ！御菓子なんてそうそう食べられないからなぁ。嬉しいです！」



「お菓子と言えば、昔を思い出すなぁ。」



「昔？」



「ジャンに拾われた頃さ。」

ジャンからはそう言えばざっくりしか聞かされていない。