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新婚編

閑話 親心

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「う~~~!うー!!」


「おい、大丈夫か。目が腫れるぞ。」



「だってぇ、だってええ。可愛い娘がお嫁さんに行って、息子がお嫁さんを貰ったようなもんなんだもの~。」


子どもたちの結婚式から屋敷に戻ってきてもまだ、グリンは泣いていた。
感動で泣き続ける妻に、ジョニーはいい加減泣き止んでもらいたいが、どうしようもないので癒しの魔法をかける。

といっても、ジョニーはポラリスのような回復魔法の使い手ではないから、本当に僅か、腫れをひかせてやるくらいしかできないのだが。



自分だって、たいして面倒を見れなかった、放置していた息子が立派になって、愛する人と結ばれて感動していないわけではないが、隣のグリンがこれほど泣いてくれるので、自分の涙はどこかへ行ってしまった。


本当に蔑ろにしすぎたという反省はある。
自活できるくらいになるまでは面倒をみるくらいの良心は残っていたが、復讐に生きる自分と死んだことになっている母親、こんな両親とずっと一緒に生活していくことのリスクを考えて、置いていくという結論に至った。

上手くいったからいいものの、途中で身バレして殺されたり、罪に問われて一家丸ごと処刑される可能性だってあったから。

だが、あまりにも復讐が中心にありすぎた。

ジャンには本当に謝っても謝りきれない。

あんな風に育てたのに、真っすぐな男になってくれた。


それは、自分より母親のグリンに気質が似たのかもしれない。




グリンと一緒になってよかった。




処分されるグリンを担いで、遠くの村に身を隠し、殺した振りをしてともに生活をした。

妹を死に追いやった女に人生をめちゃくちゃにされた彼を、放ってはおけなかったのだと思う。

乏しかった表情に色が戻り、やがてリハビリをしながら俺の身の回りの世話をしてくれるようになった。

騎士団では新人で野営時の食事の担当だったらしく、子爵令息にしては初めから家事が上手かった。

体が普通に動かせるようになると、一緒に鍛錬をするようになり、騎士らしい肉付きに戻っていった。

一緒に生活して、人肌の温かさを感じるようになり、復讐の最中なのにそういう関係になってしまって、ジャンが生まれた。

復讐に子どもは邪魔になるだけだと思っていたけど、育てられなかった息子を想い続けているような彼に、堕ろせと言えるわけはない。

それに、自分だって嬉しかったのだ。いけないと思っていながら、自分と彼の子が生まれてくるのが。



「………ありがとう。グリン。」



「え??」


「グリンがいて、子どもが産まれたから、今日この喜びの日を迎えられた。」


赤い瞼にキスを落として、癒しの魔法をかけながら、後ろから抱きしめる。




「私も……ありがとう。ジャンが私を助けてくれたから、今日があるんだもの。」





「………久しぶりに、子どもができるようなやり方で、抱いてもいいかな。」


「できるかどうかわからないけど…。」



2人に子どもができるかは分からないけど、孫はきっとすぐにできるから、今よりもっと賑やかになる。


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