上 下
22 / 51

国際裁判の前に~それぞれの前夜~女王とミリムとスネイク

しおりを挟む
いよいよ、明日が国際裁判だ。

各国の国王が集まり、絶壁の無人島で裁判が行われる。



国王らは、実際にそこにいるわけではない。

自国の玉座から姿を投影させて出席するのだ。


しかし、実際に原告被告となる者や、当事者の国以外から集められたその事務を滞りなく執り行う事務官、執行官、護衛などは、直接現地へ行かなければならない。

その間の彼らの国は、同盟国や親族が守る。
とはいっても、転移魔法で一瞬なので、それほど負担は大きくない。



「全く嫌になっちゃうわ、絶壁の無人島だなんて。美味しい食事は食べられるのかしら。」

「裁判が1日がかりになることもある。宿泊施設やちょっとした娯楽施設はある。食事もな。だが、転移で帰れるのだから気にすることはないだろう。」


「そういえば、エドワード様はまだ旅ですか?」



「そうね。あの子は素直すぎるから。何も知らないほうがいいのよ。でも、貴方は私についてきてね。ミリム。」


この女は若く美しい。
念押しで誰か事務官を誑かせないかしら。

事務官の控室に媚薬でも飲ませて押し込もう。


罪悪感で、私たちを深く追求できなくなるはずよ。



「分かりました。」


ミリムは、女王の悪意が分からない。
だが、ミリムにとっては女王が悪だろうとどうでもよく、エドワードもバカで操りやすい、丁度いい王子だった。

証拠らしきものも処分できたっていうし、勝ち戦よね。

ゆくゆくは私は王妃。


だから、今から仲良くしなきゃ。

実家の男爵家は最初はミリムを諫めてきたが、無視してきた結果、最近では何も言わない。

これ幸いに城に泊まりっぱなしだ。



「ふふふふ。」


「ほほほ。」


「はははは。」




自分の思い通りに事が進むと思ってやまない。







そして、裁判当日。



原告席に一人だけ座るジュエル陛下を見て、スネイク伯爵はほくそ笑んだ。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

王太子が護衛に組み敷かれるのは日常

ミクリ21 (新)
BL
王太子が護衛に抱かれる話。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

処理中です...