【完結】自称ヒロイン役を完遂した王家の影ですが、断罪パーティーをクリアした後に王太子がぐいぐい来ます。

エンディング ジョエルルート②

スノウの黒い髪と瞳に映える黒に近い紫色の上品なスーツを仕立て、アメジストの装飾をセットにして。

私が自ら、ホワイト伯爵家を訪れた。




「ジョエル…！」
衣装を見て、スノウが私を見つめる。


「スノウ。また君を困らせるかもしれないが、私の心は君だけにある。義務や使命感、王太子としてのセオリー。それしかなかった私の心に、君という光が宿ったんだ。……………こんなことを言えば、君を追い詰めるかもしれない。そう思って、言えなかった。だが、ウイッチが他国の王女として婚約を迫って来た時、私は陛下に、君を妃に得られなければ平民にしてほしいと頼んだんだ。君にはエリムもいる。本当は私が君を幸せにしたいが、エリムにならって…。」


「殿下。スノウが困ります。殿下しか王子はいないのですよ！」


「レオ。だから私は、スノウが私以外を選ぶのなら、他に妃を娶りたくないからスノウの子を次の王太子にと思っていたんだ。我ながら勝手だと思う。スノウ、これを言ったのはね。そのくらい本気だって伝えたかったんだ。今は、君も困るし他のみんなも困るから、そんな勝手なことはしないよ。君に選ばれなかったらその時は大人しく王子の責務を果たすよ。だけど、やっぱりエリムには渡したくない。君の隣には私が立っていたいんだ。」


スノウの瞳が揺れて、困らせてしまったと思った。



礼をして、伯爵家の門をくぐって待たせている馬車へ向かう。







そんなふうに俺のこと…。

心が揺れる。

そしてふいに、ジョエルの呪いを解くために口づけた柔らかい感触が思い出される。



アイスノン――――――先輩、善き魔女。彼は言ってた。

『運命の相手』だけが呪いを解けるのだと。



「待って！」



俺はジョエルを追いかけた。



「ジョエル！……俺、まだよくわからないけど。ジョエルがくれた衣装を着て、パーティーには出るよ。おやすみなさい！」



「ありがとう、じゃあ迎えに来るよ。」



ジョエルの笑顔はキラキラしていた。