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エンディング エリムルート④
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言葉も話せない、唸るばかりの汚れた子ども。
シュタイン伯爵家での過去をエリムは思い出していた。
母が生きていた頃は目が見えていたから、まだよかった。
その時に最低限のマナーは覚えたから。
だけど、流行病で母が亡くなり、私が視力を失うと一変した。
父は私を見限り、後妻を迎えた。
私が5歳の時だった。
後妻は父の愛妾で、既に父との間に4歳になる息子がいた。
私は狭い部屋に押し込まれ、見えないから要らないだろうと、母の形見のペンダントや最低限の衣類以外は全て奪われた。
絵本も、玩具も。
食事の席では馬鹿にされた。
「まあ、なんて酷いマナーかしら。だいたい食事時間にこんなに遅れてくるなんて。」
見えないから、移動に時間がかかった。
見えないから、ナイフやフォークが見えるようにすぐには掴めなかった。
テーブルの上で探す様子を馬鹿にされた。
「あなた、手づかみで食べたらよろしいのではなくて?」
「みっともない。シュタイン伯爵家の後継はカリムだな。」
学園に入れてもらえたのは、カリムが後継でもっともだと周りに感じてもらうためだった。
お母様の実家は侯爵家で、後妻は男爵家。
カリムを後継にするために、私の不出来を知らしめて、カリムの引き立て役にするために。
見えなくても、一人で生活出来るように頑張った。
見えなくても、授業にくらいついた。
学ぶのは楽しい。
スノウに巡り会えて、勉強がもっと楽しくなった。
スノウが見てくれて、字の書き方も練習した。
2年生になって、弟が入学したが、向こうは最後まで近づいてこなかったな。
まさか私が白杖の貴公子と呼ばれ、成績も上位だとは思わなかっただろう。
父にも一切報告しなかっただろう。
自分の立場が揺らぐから。
侯爵家への養子もすんなり通った。
卒業式では面白かったな。
侯爵が招待したらしく、父の顔が面白かった。
私が代表として答辞を行い、殿下やスノウと親しくしているのを見て、青ざめていた。
障害があるからと、可能性を全て諦める必要はない。
芸術で花開く才能もあるはず。
私は光になりたい。
愛しいスノウのように。
シュタイン伯爵家での過去をエリムは思い出していた。
母が生きていた頃は目が見えていたから、まだよかった。
その時に最低限のマナーは覚えたから。
だけど、流行病で母が亡くなり、私が視力を失うと一変した。
父は私を見限り、後妻を迎えた。
私が5歳の時だった。
後妻は父の愛妾で、既に父との間に4歳になる息子がいた。
私は狭い部屋に押し込まれ、見えないから要らないだろうと、母の形見のペンダントや最低限の衣類以外は全て奪われた。
絵本も、玩具も。
食事の席では馬鹿にされた。
「まあ、なんて酷いマナーかしら。だいたい食事時間にこんなに遅れてくるなんて。」
見えないから、移動に時間がかかった。
見えないから、ナイフやフォークが見えるようにすぐには掴めなかった。
テーブルの上で探す様子を馬鹿にされた。
「あなた、手づかみで食べたらよろしいのではなくて?」
「みっともない。シュタイン伯爵家の後継はカリムだな。」
学園に入れてもらえたのは、カリムが後継でもっともだと周りに感じてもらうためだった。
お母様の実家は侯爵家で、後妻は男爵家。
カリムを後継にするために、私の不出来を知らしめて、カリムの引き立て役にするために。
見えなくても、一人で生活出来るように頑張った。
見えなくても、授業にくらいついた。
学ぶのは楽しい。
スノウに巡り会えて、勉強がもっと楽しくなった。
スノウが見てくれて、字の書き方も練習した。
2年生になって、弟が入学したが、向こうは最後まで近づいてこなかったな。
まさか私が白杖の貴公子と呼ばれ、成績も上位だとは思わなかっただろう。
父にも一切報告しなかっただろう。
自分の立場が揺らぐから。
侯爵家への養子もすんなり通った。
卒業式では面白かったな。
侯爵が招待したらしく、父の顔が面白かった。
私が代表として答辞を行い、殿下やスノウと親しくしているのを見て、青ざめていた。
障害があるからと、可能性を全て諦める必要はない。
芸術で花開く才能もあるはず。
私は光になりたい。
愛しいスノウのように。
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