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エンディング レオお兄様④
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こうしてみると、レオは綺麗な顔をしているんだな…。
私は公爵令息という肩書で近寄ってくる人ばかりで、レオだけが私個人を見ていてくれていた気がする。
だから、これといって気になる令嬢もいなくて。
婚約者もいなくて。
でも優秀で頼りがいがあって、こんなにカッコいいレオ。どうして婚約者がいなかったのだろう。
「疲れた…。」
「ああ、ごめん。夜風にあたろうか。」
風に吹かれて、ふわりと揺れる黒髪。
長い睫毛と先を見る黒い瞳。
バーテンダーからスナックとドリンクをもらってテラスに来る。
カップルで来ることが多いことを見越して用意したベンチに腰掛ける。
「このところ書類仕事が多かったから、いきなりダンスは疲れたよな。」
「なまってますね…。」
体が明らかに変わっている。
男ではあるけれど、どうしても身体能力が衰えるのだろう。
「!」
目の前の瞳が揺れる。
「あっ。」
なんで、今。
気が付けば私は隣に座らせたルティにキスをしていた。
ルティは少し私から距離をとり、警戒している。
「レオ……??」
触れられた唇に指を添わせて、ルティは困惑しているようだ。
そうか。
私はルティが好きだったのか。
「ごめん、ルティ。どうやら私はルティのことが好きだったみたいだ。」
泣きそうな顔。
申し訳ない。
「驚いたよな。友達だと思ってたらこんなふうにされたら。嫌だっただろう?」
「ちがう。」
違う?
「……私なんか、にそんなことを言わないで。私は罪人だ。レオには相応しくないから…。」
零れた涙に、そうだと思ってもいい?
「!!」
背中に手を回して抱きしめて。
「ルティに罪はない。ルティが感じている家族としての責任を果たしてもらうために管理人をお願いしているんだ。だから、心配しなくていい。ルティがもう大丈夫なら、自由になってもいいんだ。私は、思えばあの家族を憎いと思っていながらルティと友人になった。」
それは、差し引いても、それだけ。
ルティが好きだったんだ。
私は公爵令息という肩書で近寄ってくる人ばかりで、レオだけが私個人を見ていてくれていた気がする。
だから、これといって気になる令嬢もいなくて。
婚約者もいなくて。
でも優秀で頼りがいがあって、こんなにカッコいいレオ。どうして婚約者がいなかったのだろう。
「疲れた…。」
「ああ、ごめん。夜風にあたろうか。」
風に吹かれて、ふわりと揺れる黒髪。
長い睫毛と先を見る黒い瞳。
バーテンダーからスナックとドリンクをもらってテラスに来る。
カップルで来ることが多いことを見越して用意したベンチに腰掛ける。
「このところ書類仕事が多かったから、いきなりダンスは疲れたよな。」
「なまってますね…。」
体が明らかに変わっている。
男ではあるけれど、どうしても身体能力が衰えるのだろう。
「!」
目の前の瞳が揺れる。
「あっ。」
なんで、今。
気が付けば私は隣に座らせたルティにキスをしていた。
ルティは少し私から距離をとり、警戒している。
「レオ……??」
触れられた唇に指を添わせて、ルティは困惑しているようだ。
そうか。
私はルティが好きだったのか。
「ごめん、ルティ。どうやら私はルティのことが好きだったみたいだ。」
泣きそうな顔。
申し訳ない。
「驚いたよな。友達だと思ってたらこんなふうにされたら。嫌だっただろう?」
「ちがう。」
違う?
「……私なんか、にそんなことを言わないで。私は罪人だ。レオには相応しくないから…。」
零れた涙に、そうだと思ってもいい?
「!!」
背中に手を回して抱きしめて。
「ルティに罪はない。ルティが感じている家族としての責任を果たしてもらうために管理人をお願いしているんだ。だから、心配しなくていい。ルティがもう大丈夫なら、自由になってもいいんだ。私は、思えばあの家族を憎いと思っていながらルティと友人になった。」
それは、差し引いても、それだけ。
ルティが好きだったんだ。
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