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みんなでデート

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処刑のことは知らせない。

ジョエルはスノウをデートに誘った。
嫌な情報が、スノウに伝わらないように。


「スノウ。今度の休みなんだが、湖に遠出に行かないか。馬に乗って、ピクニックに。どうだろう?」

「ピクニックかぁ。」

最近、スノウも私に慣れてきたのか、嫌悪感を示すようなことはなくなった。

たぶん友達の扱いだけど。



「馬…。ピクニックか。いいなぁ。」

エリム!


「殿下、俺。ピクニックに行くなら大勢がいい!」
ねだるような、スノウの視線!


「う…っ。」


「いいよ、スノウ。僕は馬も乗れないし。綺麗な湖に行っても、見えないからね。」

「何を言っているの!エリム。見えなくても、匂いや風を感じることはできるじゃない。ジョエル殿下、いいでしょ。」


スノウ、お前には見えていないんだ。
エリムのほくそ笑む顔が!

わざと邪魔を…っ!

ならば、緩衝材。緩衝材が欲しい。


「ユーリカ=クランベル伯爵令嬢!」


スノウの前の席の学級委員長。
真面目で落ち着きのある、好感の持てる女性だ。


「君もどうだね!」


「えっ、でも私なんかが…。スノウ様の御世話係、ということでしたら引き受けますが。」


「それでいいから来てくれないか。私とエリムだけだとスノウを取り合って喧嘩になりそうなんだ。君は私たちに色目を使わないし、丁度いいんだ。君は確か宮女志願だろう!将来の予行練習だと思って!頼むよ!」

「仕方ありませんね。」



「うわぁ、Wデートみたいだね。」

「そうですね!」

どっちがどっちとなんて聞きたくないが、それでスノウが来てくれるならいい。








処刑が早まって、スノウに処刑の知らせを聞かせてしまった。

残念だ。

だが、だからこそ気分転換をさせてやりたい。


「いい天気。ピクニック日和ですね。」


「私、ピクニック久しぶりです!」


前の馬を操るのはスノウ。スノウの前には、彼よりも小柄で可愛らしいクランベル嬢が乗っている。

そして私の馬には…。


「すみませんね、殿下。私が目が見えないばかりに。」

「いや……。」

エリムを乗せている。

エリムはすらっとして背が高い方だが、私の方が高いんだもんね!


「すみません、殿下。私はランチボックスを抱えているもので。」

「すみません。殿下。俺が重いばっかりに。」


ケントもタイタンもいいから!

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