最愛を亡くした男は今度こそその手を離さない

竜鳴躍

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初めての社交界

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アルファさんは銀色の最高指揮官の軍の正装をして迎えに来た。

俺は黒のコートとウェストコート、トラウザーズに真っ赤なドレスシャツ。



エスコートされて会場に足を踏み入れれば、皆がはっとした顔でこちらを見る。


「お兄様。」

アルファさんより背が低く細身だけど、よく似た人がこちらに来た。

赤い正装。

男装だけど、辺境伯をしているアルファさんの妹のアンジェラ様だ。

「この子がルウちゃんの子?わあ………そっくり。」

「初めまして。加々美竜です。」

懐かしい。シイナ。


「そういえば、お前たちの子は?」

「あそこでメフィスト様の子どもたちと一緒。ベータの子も一緒だよ。」

「そういえば、ベータは人間と結婚したんだったな。」

へえ、そうだったんだ。知らなかった。



前の俺が死んだ後も、時は流れたんだな。
当たり前だけど。



「踊ろう。」

「うん。」



腰にアルファさんの手が当たる。

暖かい手。

無機質な手を繫いで、ワルツが始まる。


好き。

俺はちゃんと今の俺としてアルファさんが好きだよ?

アルファさんはちゃんと俺を見てる?

俺を通してリュウを見ていない?






「お兄様もようやくヘタレ脱出ね。」

「アンジェラったら。」

見守る人たちの視線は暖かい。
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<関連作>①https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/745514318②https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/186571339第1話がダイジェストなので、よろしかったらご覧になっていただけると嬉しいです。
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